早稲田大学法学部
入試難易度: 3.0
早稲田大学法学部の世界史の難易度は論述が出題されるため他学部よりもやや大変ですが、論述問題以外は基本的な問題の出題となります。教科書レベルの問題の確認をしておきましょう。
全体概観:配点70点
時間60分
法学部では論述問題が出題されます。この出来が合否に大きく左右するので、論述問題を行なう時間を確保しておきましょう。早稲田大学全般で言えることですが、解答時間があまりないのでわからない問題を考えるのではなくて諦めて違う問題を解いていき時間を確保していってください。
出題概要
古代~近現代が中心。東洋史、特に中国史が頻繁に出題される傾向にあります。大問5題の出題。解答形式は空欄補充と論述問題。
対策1:細かい質問に対してはどうすればよいのか?
「早慶の歴史」というとよく用語集を全部覚える必要はあるのか?という質問を受けます。
確かに、早慶の一部の学部では用語集にも掲載してないような細かい知識を受験生に出題しており、受験生を悩ませています。
ですが実際、早慶の入試で合格点を取るということに関してはわざわざ用語集を覚える必要はありません。
大学受験で必要なのは歴史科目で満点を取ることではありません。
大事なのは、限られた時間で合格点を取れるようにすることです。
早慶で合格点を取るためには基本的なことを確実覚えていることが肝心です。
年号、歴史の因果関係、相関関係、出来事時代の説明などです。
これを教科書レベルのものを確実にアウトプットできるようになっていれば、早慶であろうと余裕で合格点が取れるようになっています。
特に早稲田大学法学部の場合は、問題が教科書レベルの問題が7~8割からで構成されています。
まずはこのレベルを確実に答えられるようになって、合格を確実にしていきましょう。
頻出の東洋史と西洋史はどんな部分が出るのですか?
西洋史の範囲では・・
16~19世紀の西ヨーロッパや北アメリカの領域からの出題頻度が高くなっています。
東洋史の範囲では・・
中国の前近代の問題が毎年出題。法学部という特性上各王朝・各時代の政治や制度が問われる問題が多いので注意!
対策2:論述はどのように対策をしていけばよいのか?
早稲田大学法学部では記述問題に加えて本格的に(200字程度)論述問題が出題されます。
通常の勉強をしているだけではなかなか論述問題はできるようにはなりません。
特に、私大だと一問一答でアウトプットを済ましてしまう場合が多いのですが、それではいつまでたっても論述問題はできるようにはならないのです。
論述問題は、歴史事項と事項を論理的に捉えていかなくてはいけません。
論理的というのはこの場合因果関係と相関関係を意味します。
何が原因で何が発生したのか?、またそれと同時期におこっていたことの事件との関連はどのようにあるのか?、などです。
歴史項目と歴史項目を図式化して→で論理の関係を考えてみてください。
1つ例を見てみましょう。
平和に関する布告 十四か条の平和原則 三・一独立運動 国際連合
という問題です。問題を見た瞬間に怯んではいけません。
まずは冷静に問題文を読んで考えましょう。
回答に要求されている時代は「20世紀初頭から20世紀前半」ですから、あまり長い時間ではありません。
指定語句を見ると
「平和に関する布告・十四か条の平和原則」が第一次世界大戦中のできごとですから
ここからはじめて「国際連合」まで、ということは
第2次世界大戦終盤までをかけばいいことになります。
受験生の皆さんがよく使っている『ナビゲーター世界史』という参考書を見てみましょう。
4巻63〜64ページに「ソヴィエト政権が成立し「平和に関する布告」が出されました。
これは、全交戦国に対する「無併合・無賠償・民族自決」アドの原則に基づく戦争終結」という一種の”理想主義的”な呼びかけでした」「アメリカ大統領ウィルソンが、十四箇条の提案を行いました。
その主な内容は、秘密外交の廃止、軍備縮小、ヨーロッパ諸国民の民族自決、国際平和機構の設立などでした。
※・・・ソヴィエト政権の「平和に関する布告」に対抗するために出されたものだ、という点もあったことを押さえておくと有効です。
アメリカ側も”理想主義的”な提案をして・・・」とあります。
つまり、民族自決は理想主義的=実現不可能だがとても素晴らしい理念として提案されたものであり米ソによる戦後世界の主導権争いの中で出てきたものだということです。
次に4巻67ページ
「会議はアメリカ大統領ウィルソンの大戦中の十四箇条の提案がもとになって進められました。」
68ページ
「(イギリスは)今までどおりの植民地支配を正当化して「民族自決の原則」を使い分けました。」
70ページ「民族自決の原則に基づいて、東ヨーロッパ進行国家が誕生したことも重要です」
92ページ「これには、帝国主義のヨーロッパ諸国が第一次世界大戦でかなり衰えたことと、パリ講和会議でウィルソン大統領が「民族自決の原則」を述べたことが大きく影響したのです」
91ページ「1919年3月、三・一独立運動と呼ばれる大規模な民族独立運動が起こされました」
また、この記述の後93〜107ページではアジア各国の様子が書かれています。
中国の民族運動・モンゴル・チベットの独立運動、インドの日暴力的抵抗運動、東南アジア諸国の独立運動、トルコ革命等々です。これらも民族自決の考え方の波及の一例です(92ページの記述でわかります)。
民族自決は列強の都合により一部地域にしか適用されなかったが、その他の地域(アジア・アフリカ)にも大きな影響を与え独立運動・民族運動が起こったということですね。
そして、153ページ以降の国際連合の設立に繋がりますが、153ページにあるとおり「大西洋憲章が発表され、その中で「平和機構の再建」をすることが唱えられました。」とあります。
また、138ページには大西洋憲章にソ連が賛成したことも書かれています。ということは、国際連盟の理念である民族自決を国際連合も引き継いでいるということです。
以上のことを理解した上で回答をしてみてください。
解答例を挙げてみたいと思います。
解答例(250字)
第一次世界大戦中のレーニンによる平和に関する布告やウィルソンによる十四箇条の平和原則で民族自決の原則が謳われた。これらは戦後世界の理想を示し、国際連盟の理念になった。戦後ヨーロッパでは民族自決によって東欧諸国が独立したが、アジア・アフリカは適用外で、大戦によるヨーロッパ諸国の衰退もあり各国で民族運動が高揚した。朝鮮における三・一独立運動は日本支配下で起こった民族運動である。その後、国際連盟は崩壊したが、大西洋憲章で国際平和機構の再建が決まり、戦後成立した国際連合も民族自決の原則を受け継いでいる。
ナビゲーター世界史だけでもここまでできます。
この時に重要なのは用語を覚えるだけにならず内容を理解し、流れを押さえることです。
もちろん、当塾ではここまで意識した教科指導・学習方法の指導を行っております。
2017年の入試について
問題数や論述問題の文字数は昨年から特に変化はない。
文章選択肢の問題が昨年より素直で解きやすかった印象がある。
論述問題も素直なものだったので知識さえあれば解答できるものだった。
高校世界史で出てくる内容をひとつひとつ理解し知識を身に着けていけば十分合格点にたどり着くことができるものだった。
ただし、現代史の問題が非常に多くなっており、21世紀まで含めて学習しておく必要がある。
現代史も教科書の内容については正確に理解している必要があり、この点では現役生と浪人生で差が付きやすいといえる。
現役生はなかなか大変かもしれないが、できるだけ早い段階で現代史まで完成させる必要があるといえる。
過去の法学部の問題一覧
2016年「ベトナムから見た中越史」「古代の混合政体論とその影響」「ヨーロッパの植民活動と17世紀の英蘭」「キリスト教史」「ドイツ統一運動」
2015年「中国の管理登用制度、学問」「パレスチナ史」「北欧史」「海上交易と海上輸送史」「20世紀前半における民族自決の波及」
2014年「中国と周辺地域の文化史」「疫病・伝染病の影響」「中世~近世の英仏関係」「近世・近代のアメリカ大陸関連史」「中華人民共和国をめぐる外交の展開」
2013年「中 国 に お ける王朝・皇帝の支配」「古 代 ~ 中 世の イ ベ リ ア半島 」「近 現 代 イ ンド史 「第 一 次 世 界大 戦 期 の ヨーロッパ 」「19 世紀末~1920 年までの国際協調」
2012年「明清史 」「古 代 西 ア ジ ア史 」「近代初期(16 世紀)のヨーロッパ 」「ギ リ シ ア の ナショナリズム運動 」「17 世紀の英蘭関係 」
2011年「周~元までの中国通史 」「古 代 ギ リ シア・ローマ史 」「ヨーロッパとオスマン帝国の接触・抗争」「奴隷制度と近現代アフリカ史 」「中華人民共和国史」
2010年「春秋・戦国~清までの中国通史」「中世~近世における東西の文化交流」「ドイツ,フランス,イギリス,イタリアの初期の国家形成 」「近代フランスにおける宗教・教会と国家の関係 」「南北戦争発生時の合衆国北部と南部の相違 」
2009年「中国前近代史」「東南アジア史 」「古代~中世の西欧政治制度史」「南 北 戦 争 ~ 20世紀初頭のアメリカ合衆国」「19~20 世紀後半の北アフリ カのフランス植民地」
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