この記事は2018年9月11日に更新されました
本記事は最新情報に基づき常に更新していきます。そのため、該当となる生徒や親御さんは本記事をブックマークに入れていただくことをおすすめいたします。
スケジュールについて
現在実施されているセンター試験は2020年の1月に実施されるものが最後となります。
この文章を書いているのは2018年8月ですので、現時点で高校2年生の皆さんが最後になるということです。
2021年1月からは「大学入学共通テスト」というものが行われます。
では、そこまでのスケジュールを確認してみましょう。
2017年7月 実施方針が発表されました
2017年11月 プレテストが実施されました
2018年11月 プレテストが実施されます
2019年 実施大綱の策定・公表
2019年 確認プレテストを実施
2021年1月 実施
2021年 次期学習指導要領に対応した実施大綱の予告
2023年 次期学習指導要領に対応した実施大綱の策定・公表
2024年 次期学習指導要領での実施
上記のものを見てわかるとおり、2023年度まで(2024年1月実施分まで)は現在の学習指導要領で実施されます。これは現在の中学1年生までとなります。
2024年度からは新学習指導要領に基づいて実施されるようになります。出題教科・科目については現在の学習指導要領に基づいている間は現行センター試験と同じです。その後は簡素化する方向となります。
今回の入試改革における大きな変更点
では、新テストでの大きな変更点とはなんでしょうか。
2点あげたいと思います。「思考力・判断力・表現力」と「英語四技能」です。
思考力・判断力・表現力について
まず、「思考力・判断力・表現力」についてですが、いままでの試験が「知識・技能」に偏りすぎていたためにより多様な力を試すものに変更されます。
まず、マークシート式の解答方式を改め記述・論述形式の問題が出題されます。当初は国語と数学で実施されます。
2024年度からは地理歴史・公民や理科にも拡大される予定です。
2017年度に実施されたプレテストでは国語で3問論述式問題が出題されました。
形式面・内容面で条件を設定しそれをどのくらい満たしているかで評価が行われました。
文字数が多くなると正答率は10%程度になっていました。
数学についても3問出題されました。こちらは正答か誤答かという採点でしたが、無答率が非常に高かったようです。
実際の入試では国語は4段階評価(文字数が多い場合は5段階評価)、数学は正答か誤答での採点となる予定です。
マークシートでの解答についても、当てはまる選択肢をすべて選択させる、解なしの選択肢を解答させるなどの工夫がされます。
例えば選択肢がア~オの5つあり、「当てはまるものをすべて選びなさい」という問題が出たとします。
この解答が「エ」のみだったとします。
当てはまるものをすべて選べという問題に対して1つだけ答えるというのは心理的に抵抗があるのでしょうか。
これだけでも正答率は低くなります。
本当にわかっている人だけが自信をもって解答できる問題となってしまいます。
その他にも図・表・資料を読み取る問題、複数の図・表・資料を組み合わせて答える問題など今までよりも「読み取る」「考える」「判断する」ことの正確性が問われる問題となっています。
英語4技能について
次に「英語四技能」です。
四技能とは「読む」「書く」「聞く」「話す」です。
特に「話す」という部分をわずか二日間の試験期間で全受験生に行うのは非常に大変だということで民間試験の活用が行われます。
2020年度から2023年度までは大学入試センターが作問し共通テストとして実施する試験と民間の資格・検定試験の両方を受験できます。
そして、各大学はその両方あるいはいずれか一方を利用することができます。
共通テストで行われる試験は、
「筆記・リーディング」80分、「リスニング」60分(解答時間30分)と現行と変更はありません。
ただし、共通テストの内容は大きく変更される可能性があります。
以下の内容については確定しているわけではありません(2018年8月現在)が、まず、「筆記・リーディング」と「リスニング」の配点が現行は200点と50点ですが、これを均等配点にすることが検討されています。
また、現在のセンター試験では「話す」「書く」の二技能を間接的に測るため発音・アクセント・語句整序問題が出題されていますが、
民間テストでこの二技能を測ることができるためこのような問題の出題を取りやめとすることが検討されています。
本番では、各大学が選抜に使う際に配点を変更することは可能ですが、センターの配点に則って選抜をする大学がたくさんありますので、受験生は今から情報にアンテナを貼っておくことが求められそうです。
また、プレテストでは半数の生徒にはリスニングを2回読みしましたが、半数には1回読みしかしていません。
出題内容も、日常生活・学校の中の場面が出題され、授業で討論や発表をする準備をさせという設定で資料を読ませるという問題も出題されていました。
筆記問題では飲食店の口コミサイトへの投稿を題材にするなど、今までには見られない出題がされており、「時間が足りなかった」という声が非常に多かったようです。
現在の高校2年生の皆さんが浪人してしまった場合どうなるのかについてですが、救済措置はありません。
2つの試験を用意してもらえるわけでなく、浪人生も現役生と同じ試験を受けるということです。
そうすると、現在の高校2年生の皆さんは受験の時に安全志向が強まるかもしれません。
MARCHレベル、あるいはそれ以下の学校の難易度にも動きがあることが予想されます。
いずれにしろ、多くの動きがあると思います。
このような動きを「ピンチ」ととらえる向きもありますが、冷静に情報を得て、分析していれば「チャンス」にすることもできるかもしれません。今からじっくりと準備を進めていきましょう。
英語の学習について
リスニング、スピーキング、ライティングといったスキルは1日,2日でできるようにはなりません。
難関大学レベルで通用する英語力となると、数年単位でのトレーニングが必要となるでしょう。
もちろん、入試のためという意味もありますが、
今後英語を使うことができないということが就職活動に響く可能性が大いに考えられます。
そう考えるならば、早めに英語の勉強を開始しておくのが得策でしょう。
当塾では、ネイティブ講師が教える英語指導も実施して、スピーキング、ライティングといった部分についても力を入れています。現状の英語の勉強にご心配の方はお気軽にこちらからご連絡ください。
さて、続いて英語の成績提供システムの参加要件を現段階で満たしている民間試験をご紹介していきます。
- 【何からはじめたらいい?という人向け】
【まず始めることをお伝えします】 - 早慶に合格するための戦略とは?
1,2年生から合格するための戦略を立てるには? - 【高1】早慶現役合格の勉強法を徹底解説
志望校に合格するためにやるべきこと紹介 - 【高2】現役で早慶GMARCHに合格
必要な勉強法(勉強時間、参考書)を紹介 - 【高2】早慶絶対合格!!のためにすること
勉強時間、スケジュール、参考書、勉強法の紹介
英語成績提供システムの参加要件を満たしている民間試験
ケンブリッジ英語検定、TOEFL iBT、IELTS(IELTS Australia実施)、IELTS(ブリティッシュカウンシル実施)、TOEIC ® L&R S&W、GTEC、TEAP、TEAP CBT、実用英語検定(3級~1級)
受験者は高校3年生の4月から12月間に受験した2回までの資格・検定試験の結果が大学に提供されます。
成績は
1,各試験のスコア(バンド表示もあり)、2,CEFRの段階別表示、3,合否
が基本となります。
L=リスニング、S=スピーキング、R=リーディング、W=ライティング
ケンブリッジ英検
年間実施回数 2~3回
出題形式 L・R・W=紙・CBT、S=面接
受験料 27000円(税込み)
TOEFL iBT
年間実施回数 40~45回
出題形式 L・S・R・W=CBT
受験料 235アメリカドル
IELTS(ブリティッシュ・カウンシル実施)
年間実施回数 40回
出題形式 L・R・W=紙、S=面接
受験料 $235(L・R・W・S)
▶TOEFLについてはこちらの記事を参照してください
TOEIC
L&R
年間実施回数 10回
出題形式 L・R=紙
受験料 5725円
S&W
年間実施回数 24回
出題形式 S・W=CBT
受験料 10260円
GTEC
年間実施回数 3回
出題形式 Core/Basic/Advancedタイプ L・R・W=紙、S=タブレット
CBTタイプ L・R・W・S=CBT
受験料 Core/Basic/Advancedタイプ 5040円
CBTタイプ 9720円
TEAP
年間実施回数 3回
出題形式 L・R・W=紙、S=面接
受験料 L・R・W・S=15000円
▶TEAPについてはこちらの記事を参照してください
TEAP CBT
年間実施回数 40~45回
出題内容 L・S・R・W=CBT
受験料 15000円
英語検定
年間実施回数 3回
出題内容 L・R・W=紙・CBT、S=面接・CBT
受験料 2級5800円、準2級5200円(準会場は割引あり)
▶英語検定についてはこちらの記事を参照してください
大学受験改革と早稲田大学
大学受験改革はセンター試験だけが変わるわけではありません。
私立大学の入試にも大きな影響を与えます。
早稲田大学は大学創立150周年を迎える2032年を見据えて中長期計画「Waseda Vision 150」を策定し、改革を進めています。
その一環として2021年2月に行われる入試でも様々な改革が行われます。
新センター試験施行と同時に変更される点は以下の通りです。
【全学部】
一般選抜(現在の一般入試)と大学入学共通テスト(現在のセンター試験)を利用した入試について
現在行われている「知識」だけでなく「思考力・判断力」「表現力」を問う問題を今まで以上に工夫を加えて出題されます。
さらに、Web出願時に「主体性」「多様性」「協働性」に関する経験を記入して出願します。これは、学校が作成する調査所に記入するものではなく受験生本人が文章を書くもの。複数学部に出願する場合、1回記入すれば大丈夫です。
【政治経済学部】
一般入試について以下のような配点となります。
① 大学入試共通テスト
外国語・国語・数学ⅠA・選択科目(地歴公民、理科、数学ⅡBから1科目)の4科目を受験し、各科目25点ずつに換算します。よって、この部分で100点満点となります。
② 英語外部検定と学部独自試験
英語外部検定試験は30点程度、学部独自入試は1科目を90分で実施し70点程度とします。
内容は日英両言語による長文を読んだうえで解答するもので論述解答も含むものの予定です。
現在行われているセンター入試利用試験は大学入学共通テストを利用した入試として継続しますが、定員は50名(現在70名)に変更されます。
【国際教養学部】
一般入試について以下のようになります。
① 大学入試共通テスト
国語・選択科目(地理歴史、数学ⅠA、数学ⅡB、理科から一科目)
② 英語外部検定試験
スコア提出者に加点
③ 学部独自試験
英語のみ
配点等は2019年度の初頭に公開されます。また、センター利用入試は廃止されます。
【スポーツ科学部】
以下の3つの入試が行われます。すべて大学入学共通テストを受けなければなりません。
① 大学入学共通テスト2科目 + 学部独自試験(小論文)
② 大学入試共通試験4科目
③ 大学入学共通テスト3科目 + 競技歴調査書
【文学部・文化構想学部】
センター利用入試を廃止
以上の内容で特に注目されているのは、政治経済学部で数学が必修科目になったことです。また、英語の外部試験は基本的に受験しなければならないものになってくるという点も気を付けてください。
現在発表されているのは以上の内容ですが、今後も変更があるかもしれません。
また、英語の外部テストですが基本的には大学入試共通テストと同じものが使えるようですが、この点は毎年のように変更があるので入試要項などを見て注意して準備をしてください。
大学入試改革と慶應大学
慶應大学はセンター試験が始まった時にいちはやくセンター試験に参加しました。
第一回センター試験に慶應大学の法学部と医学部が参加したことは大きな影響を与えたといえるでしょう。
しかし、慶應大学が当初目指していた効果が十分に得られないと判断したためか、慶應大学は徐々にセンター試験から撤退し、現在はセンター試験に参加はしていません。
大学入試共通試験にも現在のところ参加するという情報はありません。また、英語の外部検定の活用も現状は特に発表されていません。
そのような中で慶應大学がどのように大学入試改革の流れに加わってくるのかはこれから注目すべき点であるといえます。
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