方針の立て方
(1)
まずは,扱いにくい絶対値記号を外す.の正負で場合分けを行えばよい.
絶対値を外せば,方程式は1次方程式になる.方程式のまま解析しても良いが,「方程式の解に関する解析は方程式の左辺(0でない方)を関数でおいて軸との交点で考える」という王道手段を本解では採用した.
(2)
整数問題の典型問題である.素数の累乗のため約数に持ち込む(積の形に持ち込む)と都合が良いと考え因数分解を行う.
(3)
「が整式である」という情報をどう盛り込むかを考える.できることならを具体的に書き下したいが,その際に次数が分かっていないのがネックになるため,まずは次数を求めることに専念する.次数が求まれば,後は具体的にを書き下して,計算するのみ.
(4)
このような抽象的な関数の問題では,数式の意味を考えると良い.例えばは「引数の符号を反転させると,関数値の符号が反転する」ことを意味していると考える.すると,の符号を反転させれば,は引数の係数の符号が揃い,に近づくと考える.
次には「引数が2上下すると,関数値の符号が反転する」ことを意味していると考える.すると「引数が4上下すると,関数値の符号は同じになる(2回反転して元に戻る)」と分かり,答えにたどり着く.解答では,この当たりを厳密に数式で処理しているが,本番では途中経過を求められないで,このような定性的な議論で十分だろう.
解答例
(1)ア:
(2)イ:
(3)ウ:
(4)エ:
解説
(1)
のとき
方程式は,
となる.ここで,とおく.
のとき
方程式は,
となる.ここで,とおく.
さらに,
とおく.ここで,はで連続であることに注意.
(Ⅰ)のとき
関数もも傾き正の一次関数であるから,はからの値を取り得る.よって,の値によらずとなるは存在する.
(Ⅱ)のとき
関数もも傾き負の一次関数であるから,はからの値を取り得る.よって,の値によらずとなるは存在する.
(Ⅲ)のとき
関数は傾き0以上の一次関数で,関数は傾き0以下の一次関数である.よって,の最小値はのときでである.なお最大値は存在しない.
よっての値に依らず解が存在するには全てのに対してであれば必要十分.
……(*)
に気を付けると,
となるから,(*)の条件式は,
となる.よって求める最大値は……(答)
(2)
より,
となる.この式より,とはの約数となることが分かる.また,は素数であることから,の約数はである.よって,
と書ける.ここで,は0以上の整数であり,よりを満たす.
両辺の差を取ると,
となる.この式より,とは30の約数となることが分かるが,が素数であることを加味すれば,との考えられる組み合わせは
の4つ.この内,整合性が取れるのは,のみであり,解くと,
となる.これをに代入すれば,と分かる.
……(答)
(3)
を次の多項式(は自然数)とすると,(左辺)は次の多項式となる.
一方で,(右辺)はの多項式である.
左辺と右辺の次数は等しいため,
となる.が自然数であるためも自然数であり,であれば必要十分.また,そのときである.
よって,は1次多項式であるから,0でない実数と実数を用いて,
と表せる.
より,両辺の係数比較をすると,に注意して,
(4)
で,にを代入すると,
が言える.
……(*)
更に,(*)でにを代入すると,
となるから,(*)の右辺に代入すると
さらに,この式でにを代入すると,
となる.よって,求めるの最小値は4……(答)
Published by