今回は座標での”円”について考えてみたいと思います。
教科書に、「中心(a,b)、半径rの円の方程式は
と表せる。」なんて天下り的に書かれていますが…はじめて目にした人はwhy?と思うでしょう。
皆さんには小学校のころ、円を書くのに、コンパスという道具を使ったことがありますね。これは、針と芯のキョリを2cmとか3cmとか決めて円を書いたのを覚えているでしょう。針(a,b)、芯(x,y)、キョリ(d)とすればコンパスはの円を描いたというわけです。
また、(*)は、r>0なので、
を変形すると、この√の中身に見覚えがありませんか?
そう!2点間のキョリです。つまり、(a,b)と(x,y)のキョリが一定値rに保たれるというわけです。
このように考えると、(*)の意味がしっくりくるのではないでしょうか?
早速、円の様々な問題にあたっていきましょう。
■問1
a,bは実数でa>0とする。
と放物線の共有点の個数をmとする。
m=2,3,4となるためのa,bの必要十分条件を求めよ。 (2015・大阪市立・理・後期)
さて、解く前に以下考えてみましょう
との交点は、
の解の個数を一致しました。
異なる2つの実数解をもつとき、共有点2コ
重解(解が1つ)のとき、共有点1コ
解なしのとき、共有点0コ でしたね。
いま、「実数係数多項式:
の実数解の個数は高々nコ」という有名事実が本問では大事です。また、2次関数と直線では問題になりませんでしたが、2次関数と円ではどのような位置関係があるのかも含めて考察していきましょう。皆さん紙とペンを用意して、位置関係を紙にできるだけたくさん書いてみましょう。
なんとなくb>0のときは素直そうだけど、b=-1らへんがゴチャゴチャするな〜くらいのイメージが湧けばOKです。
・・・①と・・・②からを消去して、
・・・③(左辺をf(y))
③は①と②の共有点に関する条件。
- |y|>1のとき解なし
- |y|=±1のとき解1コ
- |y|<1のとき解2コ です。
最後のは、③での解が1つ決まれば、①、②はxについての2次式なので、xの解が±で2つでてくるということに注意です。
(③の左辺の判別式)(=Dとする。)
ここまで準備すれば、あとは解いていくだけです。
[m=2のとき]
m=2
「|y|<1に③の解が1つ」or 「|y|<1に③が重解をもつ」
(イ) (上の(ⅲ)) (ロ) (上の(ⅶ))
(イ)のとき、必要十分条件は下図より、
(ロ)のとき、必要十分条件は、D=0かつ、(軸の位置)
かつ
よって、求める条件は、「-1<b<1」or「かつ」・・・(答)
[m=3のとき]y=±1で共有点1コ、|y|<1に解1つで共有点2コなので、
m=3「③がy=±1と|y|<1に解1つをもつ」
③について解と係数の関係より、α+β=(α、βは③の解)で、α=1とすると、β=だが、a>0より、β<-1で、βは-1<y<1の間に存在せず不適。(これは(ⅰ)〜(ⅶ)からも納得)
よって、α=-1で、が-1<β<1に存在するので、
また、解と係数の関係より、
求める必要十分条件は、かつb=-1・・・(答)
[m=4のとき]m=4「③が|y|<1に2つ解をもつ」
「D>0 かつf(1)>0かつf(-1)>0かつ」
かつb<1かつb<-1かつ
かつb<-1かつ・・・(答)
■なんとなく答えが図の通りになりましたね。
また、今回は③をx消去したましたが、yを消去して、
で、
などとおいて、と2次方程式に帰着することもできます。
少し難しい問題だったかもしれませんが、実は、円の2次関数の位置関係は頻出で、毎年どこかの大学で出題されています。
このレベルくらいは処理できるようにしておくとよいのかなと思います。
先程は、代数的要素が強かったですが、今度は図形的は問題を扱って見たいとおもいます。
▶問2
座標平面において、円C1、円C2(a>0)の共通接線の本数をmとおく。次の問に答えよ。
(1)m=1,2,3,4となるaの条件を求めよ。
(2)m=3のとき、その共通接線の方程式をすべて求めよ。 (2014・立命館大・理系・)(3)省略)
まず、2円の位置関係を考えてみましょう。
半径Rの円C1、半径rの円C2、C1C2の中心間キョリをdとします。
・2円が互いに外側にある⇆d>R +r…(イ)
・2円が外接する ⇆d=R+r…(ロ)
・2円が内接する ⇆d=|R-r|…(ハ)
・一方が他方の内側にある⇆d<|R-r|…(二)
・2円が2点で交わる ⇆|R-r|<d<R+r…(ホ)
は有名でご存知の方も多いと思います。
本問はこの知識と共通接線を結びつけて考えていくことになります。
解(1)
円が一方の外にあると少なくとも2本の接線が引けるので、m=1のとき、円が内包されていないといけない。
円C1:
円C2:
[m=1のとき]m=1⇆(ハ)
a=|4-3|⇆a=1
[m=2のとき]m=2⇆(ホ)
⇆1<a<7
[m=3のとき]m=3⇆(ロ)
⇆a=7
[m=4のとき]m=4⇆(イ)
⇆7<a
解 (2)
l1はx軸に垂直なので、x=4
いま、の(x,y)=(4cosθ,4sinθ)における接線は
(4cosθ)x+(4sinθ)y=16
⇆cosθx+sinθy=4…①で、①と(7,0)の距離が3であるから、
=3
⇆cosθ=
・cosθ=1のときsinθ=0でlに一致。
・cosθ=のときsinθ=±で接線はx±y=4
以上から、x-4=0,x±y-28=0…(答)
■半径+=上の点を文字でおくとき、(x,y)=(rcosθ,rsinθ)と設定するのは有名です。+=1を使えたり、三角関数とうまく適応できるので便利です。
■+=上の点(X,Y)での接線は(X-a)(x-a)+(Y-b)(y-b)=となります。
法線ベクトルを用いて証明できますから、証明は各々にゆだねます。
円の問題はとてもバラエティに富んでいるので、色々取り組んで円のセンスを磨いてみて下さいね。
Published by