肘井学の読解のための英文法(レベル・使い方)
英文読解の壁を一気に突破できる秘訣がここにある! 大学受験生におすすめの文法参考書『読解のための英文法が面白いほどわかる本』は、読むための英文法が学べる定評の一冊。今回は、この参考書の魅力と効果的な使い方を解説。
ページ目次
- 【何からはじめたらいい?という人向け】
【まず始めることをお伝えします】 - 早慶に合格するための戦略とは?
1,2年生から合格するための戦略を立てるには? - 【高1】早慶現役合格の勉強法を徹底解説
志望校に合格するためにやるべきこと紹介 - 【高2】現役で早慶GMARCHに合格
必要な勉強法(勉強時間、参考書)を紹介 - 【高2】早慶絶対合格!!のためにすること
勉強時間、スケジュール、参考書、勉強法の紹介
必修編と難関大学編の違い
必修編 | 難関大学編 | |
---|---|---|
出題校 | 中学〜難関大学 | 旧帝大、早慶上智 |
初期段階 | 共通テスト3,4割 | 共通テスト8割 |
到達段階 | 共通テスト7割 | 早慶、旧帝大合格 |
英検レベル | 英検準2級 | 英検準1級 |
理想の開始時期 | 高校2年冬 | 高校3年夏 |
『読解のための英文法が面白いほどわかる本』には、必修編と難関大学編の2種類があります。
必修編は英文読解の基礎を学ぶ入門編に位置付けられます。
文法事項は33項目で、例文も基本的なレベルの短い文が中心です。
難関大学編はさらに発展的な内容を含んでいます。文法事項は39項目に増え、例文も2,3文からなる長文が多くなっています。
主な違いは以下の点です。
- 難関大学編は省略と関係詞の学習が追加されている
- 例文は必修編より長文が多い
- 発展問題は難関大学の過去問題が使われている
- 英文図解はより詳細になっている
必修編と難関大学編は大きくレベルが離れているので続けて使うには、
『英文熟考・上』や『ポラリス英文解釈』といった教材をはさむと良いでしょう。
【必修編】の特徴
必修編は、英文読解の基礎力を身につけるための入門編として位置付けられている参考書です。
文法事項は、SVの発見から動詞の型まで、英文読解に必要不可欠な33の項目が網羅されています。
例文は、中学レベルの基本的かつ短い文が多く使用されており、英文読解の入門編としてふさわしいレベル感になっています。
構文を学習するのに中学レベルからできるがこの教材が神書であるポイントです。
例文の理解度を深めるため、確認問題と発展問題が設けられています。
また、英文の構造が一目で把握できるように、例文すべてに英文図解が付けられているのも大きな特徴です。
加えて、例文の音声がダウンロード可能なので、音読による学習も行えるよう配慮されています。
【必修編】レベルと対象者
必修編のレベルは、主に読解入門〜基礎を学ぶレベルとなっています。
文法事項や例文の難易度は、共通テストで求められるような英文読解力を身につけることができるよう配慮されています。
必修編の学習にあたっては、中学レベルの基本的な英文法の知識がある程度備わっていることが前提条件となります。
文法学習の経験がまだ十分でない場合は、必修編を直接学習するのは難しく、まずは基礎的な文法書で学習を進める必要があります。
中学レベルを理解するオススメの教材についてはこちらの記事でわかりやすく説明されています。
- 英語の文構造を取るのが苦手な人
- GMARCHクラスの私立大学を受験予定の人
- 早慶など最難関校を除く国公立を目指す人
また、英文読解の入門編として文法を復習したい人や、
長文読解に入る前に英文構造の基礎を固めたい人にもおすすめの教材といえます。
基礎的な文法構造の頭の使い方を理解するためにはかなりの良書です。時間がない場合は使い方によってもこれ一冊で早慶を目指すことも可能です。
【必修編】文法事項一覧
- 序章 SVの発見
- 第1章 意味のカタマリ
- 名詞句、名詞節/形容詞句、形容詞節/副詞句、副詞節
- 第2章 識別
- to doの識別/-ingの識別/過去分詞の識別/thatの識別/itの識別/asの識別
- 第3章 構文
- 接続詞/倒置/省略/強調構文/呼応/ネクサス/挿入/比較/複合関係詞
- 第4章 動詞の型
- 第4文型/第5文型/SVO to do型/SVA from B型/SVA of B型/SVA with B型/SVA for B型/SVA as B型/SVA to B型/SVA into B型/受動態
【神書】必修編は中学レベルから大学入試まで引き上げてくれます
必修編は使われている単語のレベルが中学レベルなので、
勉強の初期段階から使うことができ非常に有用です。
例題だけをひたすら解いていくだけでも文章構造の基本を理解することはできます。
ただし、英文法の知識が極端にない場合は、
『大岩のいちばんはじめの英文法』といった英文法の基本書を読んでおくことをおすすめします。
『大岩のいちばんはじめの英文法』の効果的な使い方はこちらの記事で詳しく説明しています。
【難関大学編】特徴
難関大学編の大きな特徴は、必修編に比べて例文のレベルが上がり、より高度な英文読解力が求められる点です。
必修編にはなかった「省略」と「関係詞」の学習が追加されています。
これらは難関大学の入試で頻出の文法事項です。
例文自体も必修編の短文に対し、2-3文程度の長文が主体となっています。文章の長さと複雑さが増しているのが特徴です。
発展問題には、東大や京大などの難関大学で過去に実際に出題された入試問題が使用されているのも大きな違いです。
その他、英文の構造を図解した部分がより詳細かつ複雑なものに変更されているほか、扱う文法事項数も33項目から39項目へと増加しています。
【難関大学編】レベルと対象者
難関大学編は、レベルとしては早慶などの難関大学クラスの入試を想定した内容となっています。
GMARCHレベルの学生は実施する必要はありません。
具体的な偏差値では65以上を目安としており、必修編の偏差値60程度に対して一段階上の難易度が設定されています。
学習する上での前提条件として、必修編の内容を習得していることが不可欠です。
必修編を理解せずに難関大学編の学習に入るのは困難を極めるでしょう。
対象とする主な受験生
- 早慶や旧帝国大学を目指す受験生
- 国公立大の2次試験を受験する受験生
【難関大学編】文法事項一覧
- 序章SVの発見編 SV が発見できれば難しい英文が読める1~4
- 第 1 章 ネクサス編
- 不定詞の主語がわかれば難しい英文が読める/動名詞の主語がわかれば難しい英文が読める/付帯状況のwithがわかれば難しい英文が読める
- 第 2 章 構文編
- 強調構文がわかれば難しい英文が読める/名詞構文がわかれば難しい英文が読める/因果構文 がわかれば難しい英文が読める1~5/分詞構文がわかれば難しい英文が読める1・2
- 第 3 章 倒置編 1
- 強制倒置がわかれば難しい英文が読める1~4/norとsoの後ろの倒置がわかれば難しい英文が読める/if 節の倒置がわかれば難しい英文が読める1・2/as以下の倒置 がわかれば難しい英文が読める/As ~, so …. がわかれば難しい英文が読める
- 第 4 章 倒置編 2 移動・SVMO
- 文型倒置がわかれば難しい英文が読める1~3/移動がわかれば難しい英文が読める1・2/SVMO がわかれば難しい英文が読める
- 第 5 章 分離・挿入編
- 分離がわかれば難しい英文が読める1~3/挿入がわかれば難しい英文が読める1・2
- 第 6 章 比較編
- 「AというよりむしろB」がわかれば難しい英文が読める1・2/the + 比較級 ~, the + 比較級 ….がわかれば難しい英文が読める1・2/クジラの構文がわかれば難しい英文が読める
- 第 7 章 as 編
- 譲歩のasがわかれば難しい英文が読める1~3/名詞限定のasがわかれば難しい英文が読める/関係代名詞のasがわかれば難しい英文が読める
- 第 8 章 省略編
- 関係詞の省略がわかれば難しい英文が読める/接続詞の後ろの省略がわかれば難しい英文が読める/those who areの省略がわかれば難しい英文が読める/whateverの後ろの省略がわかれば難しい英文が読める/共通要素の省略がわかれば難しい英文が読め/what if ~? がわかれば難しい英文が読める
- 第 9 章 呼応編
- so ~ that … がわかれば難しい英文が読める1・2/so that S助動詞がわかれば難しい英文が読める
- 第10章 関係詞編
- 連鎖関係詞がわかれば難しい英文が読める/名詞・前置詞・関係詞がわかれば難しい英文が読める/前置詞・関係詞・不定詞がわかれば難しい英文が読める/関係詞の二重修飾がわかれば難しい英文が読める
- 第11章 文型編
- 第4文型の応用がわかれば難しい英文が読める/第5文型の応用がわかれば難しい英文が読める/知覚動詞の応用がわかれば難しい英文が読める
【読解のための英文法】効果的な使い方
- STEP1計画を立てるいつまでに何テーマを終えるか計画を立てる。1日当たりの学習時間と1テーマにかける時間を決める。計画表に目標を明記する
- STEP2「パターン」に目を通す本書の各セクションには「パターン」と題された箇所が設けられています。これは、そのセクションで学ぶべき文法事項の種類や用法を簡潔にまとめたものです。例えば、「第5文型のパターン」や「倒置のパターン」のように、扱う文法項目が「パターン」として示されています。
学習の前に、まずそのセクションで習得すべき文法の種類やポイントを「パターン」で確認しておくことで、学習のめあてが明確になります。 - STEP3問題に取り組むまずは例題から順に解く。例題が理解できたら確認問題に取り組む。確認問題が解けたら発展問題にチャレンジする
- STEP4解説を読む自分で解いた後に解説を丁寧に読む。解説のポイントをノートにまとめる。図解で構造を確認する
- STEP5復習する章末や全体復習で弱点を確認する。音読や口述で訳し方を定着させる。わからない点は参考書で理解を深める
- STEP5活用する学習内容を長文読解や過去問題で活用する。実際の文章で理解度を確認する
【読解のための英文法】学習する上でのポイント
1文法事項の使い方に注目する
必修編では文法事項そのものだけでなく、実際の文章の中でそれがどのように使われているかに注目することが大切です。
文脈の中での文法の使い方をつかむことが重要です。
英文中のthatやitは、文脈によって様々な用法を持ちます。
たとえば、thatは先行詞を受ける関係詞としての用法と、内容を導く同格名詞としての用法があります。
itも人称代名詞の用法と、形式主語や慣用句のitなど、複数の用法が存在します。
これらのthatやitが文中でどの用法なのかを正確に識別できないと、英文の意味関係を誤って把握してしまう恐れがあります。
したがって、thatやitの用法の違いを正しく見分ける「識別力」は、正確な英文読解には欠かせません。
必修編では、こうしたthatやitの識別を重点的に学習できるのが大きなメリットです。
繰り返し識別力を鍛えることで、自然と文章を読む際にもthatやitの用法が識別できるようになり、読解力が確実に高まるはずです。
2訳のパターンを覚える
同じ文法事項でも訳し方のパターンは複数あるので、例文の日本語訳のパターンを覚えておくことも必要です。
例えば、動名詞の文が登場した場合、訳し方には以下のようなパターンがあります。
・「することはだ」
・「してすることは~だ」
・「するのはだ」
動名詞構文の日本語訳にはこのように複数の表現が存在します。
必修編の例文を解く際には、このような訳し方のパターンを意識して覚えておきましょう。
単に例文の意味が分かれば良い、と考えずに、
具体的な訳し方の表現も確認しておくことで、実際の文章でも同じ訳し方ができるようになります。
訳のパターンを豊富に蓄積することが、英文読解力向上につながります。
3例文を丸暗記しない
例文自体は丸暗記はいけません。
覚えるのであれば、必ず理解をして覚えるようにしてください。
訳し方のパターンを頭に入れることに力を入れましょう。重要なのは、その例文の文法事項が実際の英文でどのように使われ、どのように訳されるのかを理解することです。
例えば、ある例文の文法事項は「Thereを用いた存在文」で、訳のパターンは「~がある」だったとします。
この場合、その例文の内容自体は記憶する必要はなく、Thereの存在文の訳し方が「~がある」であることを覚えることがポイントです。
例文から「文法事項の使い方」と「訳し方のパターン」を学ぶことに注力し、例文自体の暗記は避けるのです。
【読解のための英文法】理解度を上げるコツ
読解のための英文法の理解度を高めるコツは以下の3つです。
1繰り返し学習する
同じ内容を繰り返し学習することで、理解が深まります。特に苦手な文法項目は徹底的に繰り返しましょう。
例えば、倒置文が苦手な場合は、必修編の倒置に関するセクションを繰り返し学習します。
初回は例文と解説を丁寧に読み、理解できるようにします。
2回目は、例文のみ解き直してみます。訳せる例文、訳せない例文を確認します。
3回目は、訳せなかった例文に絞って解説を見直し、理解を深めます。
このように、同じ内容でも複数回学習し直すことで、理解度が高まっていきます。
特に苦手分野は通常の学習よりもう一段階繰り返しが必要です。積極的に反復学習を取り入れましょう。
2音読とシャドーイングを取り入れる
例文を音読したり、音声に合わせて言葉を真似るシャドーイングを取り入れると理解が深まります。
例文を声に出して音読することで、頭の中で理解したつもりになっていることが正しく定着しているのか確認できます。
音読していてスムーズに読めない部分があれば、理解が不十分な箇所として注目し、解説を見直す必要があります。
また、例文の音声に合わせてその言葉を同時に口に出して繰り返す「シャドーイング」は、
文章のリズムやイントネーションを体感でき非常に効果的です。
音読やシャドーイングを取り入れることで、例文が単なる知識としての理解に留まらず、実際の読解に結びつける実感が得られます。
英文の音声面も意識しながら学習すれば、理解はより深まります。
語学を学習する上で音を使って学習するのは必要不可欠です。
シャドーウィングの効果についてはこちらの記事でも詳しく説明しています。
【読解のための英文法】学習計画の立て方
読解のための英文法を効果的に学習するためには、以下のように学習計画を立てるとよいでしょう。
まず、全体の学習目標を設定します。
例えば「必修編を1か月で修了する」など、期限を設けた目標を立てましょう。
次に、1日当たりの学習時間を決めます。平日と休日で学習時間に差を設けるなど、実際のスケジュールに合わせて計画します。
1回の学習時間も30分から1時間程度に区切ると集中力が持続しやすくなります。各節の学習に推奨されている目安時間も踏まえ、全体の学習スケジュールを立てていきます。
定期的な復習日も設定して、復習を確実に行えるようにします。予備時間も余裕を持って見込むことで、思わぬアクシデントに対応できるようにしましょう。
このように学習計画を具体的に立てておくことで、読解のための英文法を効率的に修得できるはずです。
【読解のための英文法の次】長文へのステップとして
読解のための英文法は、長文読解へのステップとして非常に有効な教材です。
長文読解には、文法力と語彙力に加えて、文章構造を把握する力が必要不可欠です。
この参考書では、読解のプロセスに合わせた文法事項を学ぶことができるため、長文の構造解析能力は確実に鍛えられます。
例文のレベルも易しいものから難関大学の入試問題まであり、着実に長文読解の実力がつくよう配慮されています。
必修編で基礎を固め、難関大学編で発展的な内容を学習することで、長文読解へのステップアップを円滑に行うことが可能となります。
また、この参考書の学習後は、実際の長文教材を使って理解度を確認することをおすすめします。
学んだ技能を長文で活用することで、初見の文章にも適用できる実力が身につきます。
読解のための英文法と長文学習を組み合わせることで、入試レベルの読解力獲得を目指しましょう。
次の教材としてはThe Rulesシリーズに入ると良いでしょう。
1、2であれば問題なく接続することができます。
その他英語の勉強についてはこちらの記事で確認ができます。
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