方針の立て方
これはチェビシェフ多項式を元に作られた問題である.
チェビシェフ多項式は難関大学での三角関数の問題としてよく出される(高等的な数学の知識を必要とせず考察できる)題材であるため,各自調べて,典型問題化しておくと良いだろう.
(1)
の定義の仕方はでなされているため,をとを用いて表すことを考える.すると,をとを用いて表すという問題に帰着する.ただし,最終的にはに戻さねばならないため,他に使えるのはのみである.そのため,途中で出てくるをのみの式となるように変形する.
(2)
試しに小さいをいくつか考えてみるとよい.すると答えの予想がつく.後は前問で漸化式を求めさせていることと,自然数に関する議論であることから,数学的帰納法を用いて,予想が正しいことを示せばよい.
(3)
前問ではののみを特別視して考えていたため,本問ものみを特別視して考えればよいのではと考える.以外の項の解析は難しいが,問題で求められているのが一の位の数字のみであるため,十の位以降に押しやられるのでは直観し,それを示していけばよい.
解答例
(1)
加法定理より,
和積の公式より,
整理すると,
であるから,とすることで,
……(答)
(2)
のの係数がである(以下ではこの命題を(*)と表す)ことを数学的帰納法で示す.
のとき,よりであるから,(*)は成り立っている.
のとき,よりであるから,(*)は成り立っている.
ここで,のときの(*)の成立を仮定する.つまり,適当な次以下の多項式と,次以下の多項式とを用いて,
と書けると仮定する.
すると,
となる(第一のイコールで(1)で求めた漸化式を,第二のイコールで帰納法の仮定をそれぞれ用いた).
は,が高々次,が高々次であるから,高々次である.
よって,のの係数はであると言える.これは,(*)のでの成立に他ならない.
以上,数学的帰納法により(*)が示された. 証明終了.
以上より,求める係数は……(答)
(3)
前問の結果より,
のの係数は.
よって,の499次以下の多項式を用いて,と表せる.
よって,の999次以下の多項式を用いれば,と表せる.
ここで,であるから,の高々999次の多項式であるにをかけたは一の位の数に寄与しない.
よって,の一の位の数はと等しくなる.
の一の位の数 |
上表のように,の一の位の数はが繰り返される.これを用いるとの一の位の数は4と分かる.
よって,求める数は4……(答)
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