方針の立て方
(1)
絶対値問題の典型的解法,つまり,場合分けをして絶対値記号を外すことを試みる.その後は二次関数の最大最小問題と同じように,区間とグラフの位置関係で場合分けを行う.場合分けのパターンが多いが,対称性があるため⑤~⑦は実質的に計算しなくても答えは分かる.後はと直線
を図示して面積を求めるのみ.
(2)
4次方程式の解析は難しいため,次数を下げることを考える.そこで「は代数方程式
の解である」⇔「多項式
は
を因数にもつ」という解の重要性質を利用すると考えよう.この重要性質を使えば,2次方程式の解析問題に帰着させられる.後は,実数解なのか虚数解なのかで場合分けをして考えればよい.
(3)
長さの問題であるため,座標系を導入すると考えやすくなると考える.「座標は長さの問題のときに強く,角度の問題のときには弱い」というのは覚えておこう.後は問題の状況を丁寧に書き下していけばよい.平方完成を用いた最小値問題は頻出問題なのでおさえておくこと.
(4)
と
のどちらが
の値になるかを考えよう(絶対値記号と同様に
もそのままでは扱いにくいので外すことをまず考える).「全ての整数
に対して」となっているので,まずは
を固定して
のみを変数扱いして考えよう.
と
はそれぞれ単調増加,単調減少であるため,最初は
となるだろうと分かる.そこで
となる
を考える.後は十分条件を考え,そのあとで,必要性を考える.つまり,
は言えるが,では
をこれより大きくした場合はどうか,具体的には
はどうかを考える必要があると考える.すると
で(*)を満たさないことが確認できるので,答えは63と分かる.
解答例
(1)
ア:
(2)
イ:
ウ:
(3)
エ:
(4)
オ:
解説
(1)
とおくと,
①のとき()
②のとき()
③のとき()
④のとき()
⑤のとき()
⑥のとき()
⑦のとき()
まとめると,
図示すると,
よって,求める面積は,軸での対称性より,
……(答)
(2)
実数解が1と3であることから,他の二解をとして,
と書ける.係数比較すると,
となる.
次に,2次方程式について考える.この方程式の解が1か3,或いは虚数解であれば,4次方程式
の実数解が1と3のみとなる.
(Ⅰ)が実数のとき
まず,判別式が非負となる必要があるので,が必要である.
このもとで,2次方程式の解が1か3のみとなるには,
なら必要十分(これらは全て
を満たす).この内,(*)式に抵触しないのは,
のみである.このとき,(*)の第一式より,
となる.
(Ⅱ)が虚数のとき
まず,判別式が負となる必要があるので,が必要である.
が虚数ならば,
の値によらず,2次方程式
の解は虚数となる.
(*)を利用すれば,
以上(Ⅰ)と(Ⅱ)より,4次方程式の実数解が1と3のみとなる
の範囲は
である.
は整数なので,求める最大値は
,最小値は
である.……(答)
(3)
より,三角形
は
の直角三角形である.
そこで,点を原点として,左図のように三角形
を
平面上にのせる.
内部の点の座標を左図のように
とおく.点
は三角形
の内部の点であるので,
……(*)
を満たす必要がある.
このもとで,
である.更に点と直線の距離の公式より,
である.
よって,
で
は最小となる.なお,
は(*)を満たす.
このとき,
……(答)
(4)
を固定して,
となる
について考えると,
より,
は
について単調増加であり,
は単調減少であるから,
の最小値は,
以上である.
よって,を満たすには,
であれば十分.
と
が整数であることから,
であれば十分.
ここで,のときを考える.
であり
より,
の最小値は,
か
である.
より,であるから,
のとき条件(*)は満たされない.
よって求めるの最大値は63……(答)
Published by