作用・反作用の法則とは、物体Aが物体Bに力を加えるとき、物体Aはその力と同じ大きさで逆向きの力を受けるという法則です。
分かりにくい部分のため、ここでつまづいてしまう人も多い部分です。
しかし、「力のつりあい」を考える上では、この作用・反作用を用いて考えることが多くなるため、しっかり身につけておく必要があります。
日常生活で起こる現象でイメージする
まず、日常生活で起こる現象で作用・反作用をイメージしてみましょう。
例えば、ローラースケートを履いて壁を押すと、自分も壁に押し返され、後ろに進むと思います。この場合、「自分が壁を押す力」が作用で、「壁が自分を押す力」が反作用です。
また、シャープペンシルの頭を押す時、間違えて逆に持ってしまい芯の方を押してしまった場合を考えてみます。この場合、「指が芯を押す力」が作用で、「芯が指を押す力」が反作用です。経験がある人もいるかと思いますが、とても痛いですね。これは、反作用として芯が指を押すからこそ痛いのです。
このように、「何かに力を加えると、逆方向に力を受ける」という現象を説明するのが作用・反作用の法則です。
この法則はあらゆる物に対して成り立ちます。例えば、地球上のあらゆるものは地球の中心に向かって重力を受けますが、これにも反作用はあります。地球が重力により自分を引っ張るとき、自分もまた地球を引っ張るのです。もちろん自分よりも地球の方がはるかに質量が大きいため、地球はほとんど動きませんが、確かに重力にも反作用はあるのです。
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「力のつり合い」との違い
「力のつり合い」も「作用・反作用」も、同じ大きさで逆方向の向きにはたらく力ですが、この二つは同じではありません。では、この2つの違いは一体どこにあるのでしょうか。
力のつり合いの式は、1つの物体に注目して立てる式です。これに対し、作用・反作用は2つの物体に注目したときに成り立つ法則です。
机の上にあるボールを考えます。ボールには重力がかかっていますが、動いていません。このとき、
1.ボールに対する重力とつり合う力
2.ボールに対する重力の反作用
はどのような力でしょうか。
まず、ボールに対する重力とつり合う力ですが、力のつり合いは1つの物体に対して考えるので、つり合う力はボールに対してはたらく力です。よって、この力は机がボールを押す力です。少し先で出てくる話ですが、この力は垂直抗力とよび、物体が面に接しているとき、面に垂直な方向に働く力です。
次に、ボールに対する重力の反作用ですが、ボールに対する重力は「地球がボールを引っ張る力」です。作用・反作用は2つの物体に対して考えるので、この場合反作用はボールが地球を引っ張る力です。
よく、「重力の反作用は垂直抗力だ!」と勘違いする人もいますが、ここから分かる通り重力の反作用は垂直抗力ではありません。同じ大きさの力で、向きが反対なので勘違いしやすい点です。作用・反作用を考えるときは、まず「何が何に対して及ぼす力なのか」を考えることが重要です。
作用・反作用を使った問題例
Q:天井から糸で吊るされた質量1kgのおもりがある。このとき、天井が糸を引く力は何N?ただし、重力加速度gを9.8(N/kg)とする。また、糸の質量は考えない。
Ans:まず、おもりについて力のつり合いを考えてみましょう。おもりには下向きに重力mg=1×9.8=9.8 Nがかかっています。このままだとおもりが落ちてしまうので、つり合っている力があるはずです。重力とつり合う力は、糸がおもりを引っ張る力です。この力をTとすると、T=mg=9.8Nとなります。
次に、糸について力のつり合いを考えます。おもりについて考えたとき、糸がおもりを引っ張る力について考えましたね。この力の反作用として、おもりが糸を引っ張る力というものも存在します。おもりが糸を引っ張る力の大きさは、作用・反作用の法則により糸がおもりを引っ張る力の大きさと同じなので、9.8Nです。これとつり合う力は、天井が糸を引く力Fです。よって、F=9.8Nとなります。
以上より、天井が糸を引く力は9.8Nとなります。
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