英語Rが量的にも難易度的にもレベルアップした2024年の共通テストですが、
「難化した」と、受験生を中心に戸惑いが広がっています。
しかし、共通テストの英語力と一般入試の英語力は本質的に異なるものであり、
戦略的な学習方針の転換が合否の分かれ目となります。
本記事では、共通テスト英語の具体的な難易度分析を踏まえつつ、
早慶志望者に対して一般入試対策への移行時期と学習内容のポイントを解説します。
さらに次年度以降の受験生に向けて、文字数増加への対処法や勉強法についても記載しています。
全体分析:全体的には難化
分量が去年より400語以上程度増え、特に後半の長文量が多かったです。
普段点数の取れている上位層でもその問題傾向の変化から戸惑ってしまった人も多かったようです。
平均点は去年より下がる可能性があるでしょう。
難易度については、第1問から第3問は大体例年通りの難易度だが、
第4問以降は量が増えており、時間切れを感じた生徒が多かったです。
共通テスト特有の問題形式に慣れてないと、大変ですね。
それでは具体的に各大問を見ていきます。
第1問
難易度:標準
語学学校のイベント案内のチラシから、イベントの概要や特徴を問う出題。
図や表を参考にしつつ、細かな情報を正確に読み取る必要がありました。
第1問は、チラシと観光ツアー情報を題材とした比較的平易な英文で構成されていた。
小問Aは国際交流イベントのチラシで、開催日や内容、参加申し込みについて解答する必要があった。
分量はやや増加しているものの、概ねやさしい内容でした。
小問Bは3つの観光ツアーそれぞれの特徴を理解し、共通点や相違点について横断的に読み取る問題設定であった。
読解の文章自体は平易な英文のため解きやすかったでしょう。
覚えておきたい表現
- organize an event
- pay the entrance fee
- let X know
- begin with A
- at work
第2問
難易度:標準
遠足で参加するツアーの概要や注意点を整理する出題。
3つのツアーそれぞれの特徴を理解し、細部まで気を配る必要があった。
第2問は、ゲームクラブのチラシと海外旅行保険のレビューを題材としていた。
小問Aではチラシの内容と一致しない選択肢を1つ選ぶという、本文にはない情報を判断する形式の問題が出題されていた。
語数が減少し、全体的に易しめの難易度だった。
小問Bでは保険内容を正しく理解した上で、該当する設問を選択する必要があり、少し迷う選択肢も含まれていた。
ただし全体としては標準的な難易度といえる。
覚えておきたい表現
- be more than just A
- be open to A
- off campus
- on a monthly basis
- stay healthy
- budget is limited
- be in trouble
第3問
難易度:やや難しい
ALT講師が書いたブログから、学校行事についての情報を問う出題だった。
講師の意見や感想を理解する必要があった。
第3問は、フォトラリーのブログとバーチャル校外学習の記事を題材としていた。
小問Aはブログからイベントの様子や感想を理解することが求められ、イラストを選択する形式の設問も含まれた。
小問Bでは記事の内容を時系列に並べ替える問題が出題され、文章から状況を推測する思考力が問われていた。
いずれも易しい英文ではあるものの、ある程度の考える力が必要な出題であった。
覚えておきたい表現
- hurt from A
- have enough time to do
- get a better sense of A
- full of life
- on one’s way home
第4問
難易度:標準
学校新聞の記事から、バーチャル遠足の概要を問う出題だった。
記事の構成が複雑で、情報を整理するのが難しかった。
「教室の空間デザイン」と「英語部のアンケート結果」の2種類の資料を読み取り、
それらの内容に関する細かい質問に解答する形式だった。
理解は比較的容易である一方、複数の情報を照らし合わせながら正確に判断することが求められ、難易度はやや高めだった。
ディスカッション資料も参考にしつつ、情報を丁寧に読み取る力が鍛えられる出題であった。
学校新聞の2つの記事を読み取り、教室の空間デザインとインテリアについての議論を扱った内容となっています。
以下がポイントとなるでしょう。
- 2つの記事それぞれから必要な情報を正確に抽出する力が求められる
- 記事1の研究結果と記事2のアンケート結果を関連づけて理解することが重要
- 提供されたディスカッション資料も踏まえて、総合的に判断することが必要
この大問4においては、複数の情報源を参考にしながら、物事の優先順位や重要性を見極める力が問われていると言えます。
覚えておきたい表現
- stand for A
- have to do with X
- be suitable for X
- A is about Ving
- allow for X
- equally important
第5問
難易度:やや難
昨年より語数が増え、3人の行動を追いながら状況を把握するのが少し難しかったものの、物語の流れ自体は理解しやすい内容でした。
時系列判断の設問も含まれており、やや難易度が高めの出題。
3人の登場人物の行動を区別して追いきれない
時系列の流れを順を追って理解できない
細かい描写から情報を拾い出すのが困難
人物同士の関係性を読み取るのがやや複雑
場面転換が頻繁にあるため把握しづらい
このように、細かい人物描写や話の展開を追うことが難しさとなる大問5でした。
30~33については捨て問にして、他の解けるところを解くのに時間をかけないと終わらないですね。
覚えておきたい表現
- do something different
- shortly before
- a better person for A
- lift one’s spirits
- the way S look
- make use of A
第6問
難易度:6A 標準 6B:やや難
トウガラシなどの辛い食べ物に関する記事から、その効果や原理を問う出題だった。
抽象的な概念の理解が必要で、難易度が高かった。
大問6 小問A
小問Aは「時間の知覚」に関する説明文で、専門用語の意味を理解しながら解答する必要があった。
- 時間の知覚に関する研究論文からの出題
- 時間知覚への要因を説明した専門用語が文中で使用されている
- それらの専門用語の意味を正しく理解しながら解答する必要がある
- 実験データや結果などをふまえつつ、概念的思考力が求められる
大問6 小問B
小問Bはトウガラシに関する文章を読み取り、
細かい指標を踏まえて適切な選択肢を選ぶ形式の出題で、難易度はやや高かった。
ともに抽象的な概念を理解する力が求められる出題内容だった。
- トウガラシなどの効果を説明した文章からの出題
- 辛さを定量的に示す指標が提示されており、これを理解する必要がある
- 指標レベルと主観的効果の関連付けがポイント
- 比較的抽象的な概念を扱っているため難解な面がある
覚えておきたい表現
- a fixed amount of A
- keep track of A
- place more focus on A
- this is not always the case
- the passage of time
- a wide range of A
- 【何からはじめたらいい?という人向け】
【まず始めることをお伝えします】 - 早慶に合格するための戦略とは?
1,2年生から合格するための戦略を立てるには? - 【高1】早慶現役合格の勉強法を徹底解説
志望校に合格するためにやるべきこと紹介 - 【高2】現役で早慶GMARCHに合格
必要な勉強法(勉強時間、参考書)を紹介 - 【高2】早慶絶対合格!!のためにすること
勉強時間、スケジュール、参考書、勉強法の紹介
今年度の早慶受験生の対策
早慶を中心とした一般受験との切り替えを行なってください。
点数的に失敗した受験生も成功した受験生であっても、
この切り替えを早く行える人が第一志望に合格することができます。
早稲田慶應はもちろんですが、一般入試の英語と共通テストの英語は全く異なります。
一般受験に必要な力とは?
一般受験に合格するためには、早慶GMARCHであれば、「英文法」「単語力」が大きく影響します。
共通テストではこの辺りは大きく影響することはないのですが、特にGMARCHレベルでは大事になってくるのでよくよく復習をしていきましょう。
復習におすすめの参考書
新しい参考書をこの時期に行うことはおすすめしません。
これまでやってきことを信じて、勉強をしていきましょう。
ただ仮にもし、英文法のどこが苦手か復習したいという場合は、ランダム系の英文法の問題集をやっておくと良いでしょう。
その他単語帳や熟語帳も新しいものを実施するのではなく、
過去問をやって、「何ができて何ができないのか」を最終調整していくと良いでしょう。
自分のやってきたことを信じて最後まで頑張っていきましょう!
【現高2/新高3】早慶志望者が考えること
共通テストは、Fact/Opinion問題や時系列並び替え問題、表の読み取りなど独特な問題形式です。
単純な英語の学力を測定しているだけではなくて、
早く正確に情報を処理する能力を問われています。
情報処理能力を「英語」を通して確認しているイメージを持つと良いでしょう。
さらに文字数は増える可能性はある
共通テストは文法力で個人の英語の学力を計測することを目的としているわけではない以上、
今後も語数自体はさらに増加する可能性はあるでしょう。
ただし、重要なことは英語の文字数が増える=本質的に難易度が上がるわけではないということです。
現高校2年生は英文にたいして、「直読直解で読むことができるようになること」と、
欲しい情報を探し出すためのスキミング、スキャニングを実践してできるようにしていく必要があるでしょう。
スキミング、スキャニングについてはこちらの記事で詳しく説明しています。
直読直解で読むことができるようになることとは
英語を和訳するような形で読んでいないでしょうか。
学校教育の中で英語=和訳が強要されているケースが多く、
そのせいで英語の処理が非常に遅くなってしまっています。
英語を英語の順番で処理することができないと、共通テスト試験レベルの問題を解いていくのは不可能です。
英語を英語の順番で処理することについてはこちらの英語の勉強法記事で説明しています。
英語が「とにかく苦手・・・」という人は、スラッシュリーディングをして前から読むのに徐々に慣れていくのが重要です。
スラッシュリーディングの勉強については「ハイパートレーニング」「レベル別英語長文」でやってみると良いでしょう。
ある程度学力のある生徒は速読の練習でぐんぐん読める英語長文も使うことができます。
【使い方】英語長文ハイパートレーニングのレベル
ぐんぐん読める英語長文のレベル、効率的な使い方【速く正確な読み】
英語速読力+判断力
共通テストで高得点を取りたいのであれば、上述のような方法で直読直解で速く読むのは大前提で、
どの問題、形式を捨てたら良いのか?、時間を意識して解くのがポイントになってきます。
単なる英語の学力だけではなく共通テストはそのような資料に対しての瞬時の取捨選択術も必要になります。
普段の学習時から、この設問の場合はどれくらいの時間で根拠が取れるのか?という見積もりを意識して解いていくのが練習になるでしょう。
一般受験で求められる英語力は、文法力も含めた読解力になりますが、共通試験ではまた違う尺度で評価されていると考えた方が良いでしょう。使われている単語が英検2級レベルの単語でもなんとかなるレベルですが、設問の作りが大変なので違った思考力が必要です。
当塾では、さらに難しくなるであろう2025年に備えてさらに指導に磨きをかけていきます。
来年度の早慶の受験に向けてどのようにしたら良いのか、ご不明の方はお気軽にご相談ください。
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