前回に引き続き万有引力について学んでいきましょう。
前回を読んでない方はこちら確認下さい。
まず以下の問題を考えてみましょう。
問:地球上での重力と月での重力の比を求めよ。ただし
G= 6.7×10-11 N⋅m2/kg2
地球の半径RE
地球での重力gE
地球の質量ME
月の半径RM=0.25RE
月の質量MM=ME/100とする。
解)月での重力加速度をgMとして、
よって月での重力は地球の6分の1であることがわかります。
万有引力で一つ注意したいのは考えている二つの物体が質点であるということです。
そのため、物体の大きさををちゃんと考慮した場合は少し異なるので注意しましょう。
◎万有引力の位置エネルギー
万有引力の力がわかったので、次はエネルギーを求めてみましょう。
ある点AからとあるB点までの物体が受けた仕事を考えます。
ここでは積分を使うのでわかりにくいと思った方は、結果だけ覚えていてもかまいません。
積分を使った方法
質量Mの物体から距離r離れた質量mの物体を無限遠方までもっていくことを考えます。この時の仕事Wをとし、距離rの位置エネルギーをUrとすると
Ur+W=U∞
ここで無限遠方を位置エネルギーの基準に考えるとU∞=0とできるので、
Ur=-W
とできます。つぎに微小距離dr移動させたときのWを求めていきます。
万有引力の式をグラフにすると以下のようになります。
(A点の座標をra、B点の座標をrbとする。)
仕事量はこのグラフの面積になることから
rAをrと書き、rB→∞にするととなります。よって万有引力の位置エネルギーは
Ur=-W=-GMm/rとなります。
基準を無限遠点にしない場合は万有引力による位置エネルギーの式に定数項が残ってしまいます.
では最後になぜ無限遠方を位置エネルギーの基準にしたのでしょうか?
一言でいえば簡略化のためです。
詳しく見ていきましょう。
地球からの距離r のときの位置エネルギーU(r)が
U(r) = -GMm/r + C(定数)・・・①
と書けたとき、地球の表面 r = Rをエネルギーの基準に取る(U(R) = 0 )とすると,
0 = -GMm/R + C ∴ C = GMm/R・・・②
となり,位置エネルギーは
U(r) = -GMm/r + GMm/R・・・③
となります.
一方,無限遠点で U(∞) → 0 となるように基準をとると,この場合の位置エネルギーは
U(r) = -GMm/r・・・④
となり③の(GMm/R)という定数項が消えます。
また,位置 r = rA と r = rB という二点間の位置エネルギーの差を求めるとき
U(rB) – U(rA) = (-GMm/rB + C) – (-GMm/rA + C) = -GMm/rB + GMm/rA
となって,結局定数項 C に依存しないことがわかります。
そのため、最初から定数項Cが消えるような基準(無限遠点)を選んだというわけです
個々の話は上の文章の破線部に対応しています。
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