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2019年度入試|早稲田大学理工 過去問徹底研究 大問2

2019.06.25

大問2 (1) この問題のポイントは、「正角形はその外接円の中心を頂点として、個の合同な三角形に分割して考える」ことです。そのような三角形に分割して考える理由は、以下の2点です。 ・四角形、五角形、…よりも三角形のほうが簡単に扱える(計算できる)。 ・その三角形は明らかに二等辺三角形で、辺同士の関係

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  • 大問2

    (1) この問題のポイントは、「正n角形はその外接円の中心を頂点として、n個の合同な三角形に分割して考える」ことです。そのような三角形に分割して考える理由は、以下の2点です。

    ・四角形、五角形、…よりも三角形のほうが簡単に扱える(計算できる)。

    ・その三角形は明らかに二等辺三角形で、辺同士の関係、面積が簡単に分かる。

    私たちは、三角形や、綺麗な四角形(長方形など)の面積の公式を知っていても、一般の五角形や六角形の面積の公式を学習する機会はありません。では必要に迫られて五角形や六角形の面積、あるいはn角形の図形の面積を導出しなければならないとき、どうすればよいでしょうか。いくつかの三角形に分割すれば、私たちが知っている三角形の面積の公式を使って求めることができます。このように、三角形は、他のどんな多角形よりも扱いやすいのです。よって1点目の考え方があります。

    また、2点目については、そのように分割することで頂角の大きさが\displaystyle\frac{2\pi}{n}の2等辺三角形がn個できることは明らかです。また、頂角の向かいの辺の長さはL_nを使うと、\displaystyle\frac{L_n}{n}と表せます。また、余弦定理や三角比を使うことにより、残りの辺の長さをr_nとおけば、頂角の大きさとr_n\displaystyle\frac{L_n}{n}を表せます。面積についても同様です。

    (2) 基本的な極限の計算です。(1)で2倍角/半角の公式を使うことにより、最終的な答えを簡単にしておいたほうが計算しやすいです。

    (3)解答例では、\displaystyle\frac{\pi}{n}xに置きかえることにより、(L_n)^2xの関数とみなして大小関係を比べました。この方法は、左辺から右辺(右辺から左辺)を引いて正か負か判別しにくいときに有効です。今回の場合、関数に置き換えることで、「微分」できるようになりました。微分することにより、考えている関数の変化の様子、特に増減の様子が分かるのでこの方針と問題の相性は抜群です。

    解答例

    (1) 図のような、正n角形の外接円の半径をr_nとし、

    隣り合う2つの頂点と外接円の中心を結んだ二等辺三角形を考える。その三角形の底辺の長さが\displaystyle\frac{L_n}{n}、残りの2辺の長さがr_n、頂角の大きさが\displaystyle\frac{2\pi}{n}であることは明らかである。

    そこで、頂角の2等分線を引くと、図のように互いに合同な直角三角形に分割できる。

    その合同な三角形の辺の関係を考えれば、\displaystyle\frac{L_n}{2n}=r_n\sin{\frac{\pi}{n}}が成立する。

    また、その三角形の面積を考えることにより、\displaystyle\frac{1}{2}r_n^2\sin{\frac{\pi}{n}}\cos{\frac{\pi}{n}}=\frac{1}{2n}が成立する。

    これを、r_nを消去できるように変形すると、\displaystyle\left(r_n\sin{\frac{\pi}{n}}\right)^2\frac{\cos{\frac{\pi}{n}}}{\sin{\frac{\pi}{n}}}=\frac{1}{n}により、\displaystyle\left(\frac{L_n}{2n}\right)^2\frac{1}{\tan{\frac{\pi}{n}}}=\frac{1}{n}である。

    よって、\displaystyle (L_n)^2=4n\tan{\frac{\pi}{n}}

    (2) \displaystyle (L_n)^2=4n\tan{\frac{\pi}{n}}=4\cos{\left(\frac{\pi}{n}\right)}\frac{n}{\sin{\frac{\pi}{n}}}=4\cos{\frac{\pi}{n}}\frac{\pi}{\frac{\sin{\frac{\pi}{n}}}{\frac{\pi}{n}}}であり、

    \displaystyle\lim_{n\to\infty}\cos{\frac{\pi}{n}}=1\displaystyle\lim_{n\to\infty}\frac{\sin{\frac{\pi}{n}}}{\frac{\pi}{n}}=1より、

    \displaystyle\lim_{n\to\infty}(L_n)^2=4\pi

    L_n>0なので、

    \displaystyle\lim_{n\to\infty}L_n=\lim_{n\to\infty}\sqrt{(L_n)^2}=\sqrt{4\pi}=2\sqrt{\pi}

    (3) 関数\displaystyle f(x)=\frac{4\pi}{x}\tan{x}\ \ (x>0)を考える。

    \displaystyle f'(x)=4\pi\frac{\frac{x}{\cos^2{x}}-\tan{x}}{x^2}=4\pi\frac{x-\cos{x}\sin{x}}{x^2\cos^2{x}}=4\pi\frac{2x-\sin{2x}}{2x^2\cos^2{x}}

    さらに、分子について、g(x)=2x-\sin{2x}とおくと、g'(x)=2-2\cos{2x}=2(1-\cos{2x})\geqq0で、単調増加することがわかる。g(0)=0より、xが正のとき、g(x)>0

    また、xが正のとき、2x^2\cos^2{x}>0なので、f'(x)>0であることがわかる。

    n<kのとき、\displaystyle\frac{\pi}{n}>\frac{\pi}{k}である。

    f(x)xが正のとき、単調増加するから、

    \displaystyle(L_n)^2=f\left(\frac{\pi}{n}\right)>f\left(\frac{\pi}{k}\right)=(L_k)^2

    すなわち、(L_n)^2>(L_k)^2が従う。

    解説

    (1) 方針に従って計算しました。次の(2)が極限の問題なので、それを見据えて2倍角/半角の公式を使い、極限を求めやすい式にしています。

    (2) 公式\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\sin{x}}{x}=1を、\displaystyle x=\frac{\pi}{n}と置き換えて使いました。

    (3) 方針に従って計算しました。nをそのままxと置き換えても良いですが、\displaystyle\frac{\pi}{n}xと置き換えたほうが簡単に微分できます。

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2019年早稲田大学理工|過去問徹底研究 大問1

2019.06.25

方針の立て方 「集合と命題」の基本問題です。「がすべて素数である」ことの否定は、「のうち、素数でないものが(一つ以上)存在する」ことなので、のとき、の中から素数でないものを見つければよいです。が、なんとなく5の倍数になるような雰囲気を出しています。 (2) をにそれぞれ代入してみると、いずれも5の倍

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  • 方針の立て方

    1. 「集合と命題」の基本問題です。「n^2+1, 2n^2+3, 6n^2+5がすべて素数である」ことの否定は、「n^2+1, 2n^2+3, 6n^2+5のうち、素数でないものが(一つ以上)存在する」ことなので、n=5kのとき、n^2+1, 2n^2+3, 6n^2+5の中から素数でないものを見つければよいです。6n^2+5が、なんとなく5の倍数になるような雰囲気を出しています。

    (2) n=3, 4, 5, 6, \cdotsn^2+1, 2n^2+3, 6n^2+5にそれぞれ代入してみると、いずれも5の倍数になることがわかります。(このような整数問題では、小さな値を用いて具体的に計算してみることが鉄則です。)そこで、n^2+1, 2n^2+3, 6n^2+5のどれかが5の倍数になることを言えれば良さそうです。5の倍数であることを言うときに問題となるのは、その数が5で割ったときの余りが0になるかどうかですから、n^2+1, 2n^2+3, 6n^2+55で割った余りに着目します。これは、n=5k, n=5k\pm1, n=5k\pm2を代入すれば分かるので、答案ではそのようにします。

    解答例

    1. 6n^2+55kを代入すると、6n^2+5=6(5k)^2+5=5(30k^2+1)で、かつ明らかに30k^2+1は明らかに2以上の整数である。すなわち、5(30k^2+1)5でない5の倍数である自然数なので、6n^2+5は素数でない。よって、n=5kのとき、n^2+1, 2n^2+3, 6n^2+5のうち素数でないものが存在したので、(*)を満たさない。(証明終)
    2. (ⅰ) n=5k\pm2(kは自然数)のとき、n^2+1=(5k\pm2)^2+1=25k^2\pm20k+4+1=5(5k^2\pm4k+1)が成立する。k\geqq1より、n\geqq3であり、n^2+1\geqq10。すなわち、n=5k\pm2のとき、n^2+15でない自然数で、5の倍数である。すなわち素数でないので、(*)を満たさない。

     (ⅱ) n=5k\pm1()のとき、2n^2+3=2(5k\pm1)^2+3=(50k^2\pm20k+2)+3=5(10k^2\pm4k+1)が成立する。同様にして、k\geqq1より、n\geqq4であり、2n^2+3\geqq35である。これは、2n^2+35でない自然数で、5の倍数であることを示している。すなわち素数でないので、(*)を満たさない。

     (ⅲ) n=5kのとき、(1)の結果から、(*)を満たさない。

    (ⅰ)~(ⅲ)より、n\geqq3のとき、(*)を満たさない。

    n=1のとき、n^2+1=1+1=22n^2+3=2+3=56n^2+5=6+5=11で、いずれも素数である。

    n=2のとき、n^2+1=4+1=52n^2+3=2\times4+3=8+3=116n^2+5=6\times6+5=29で、いずれも素数である。

    以上の結果から、確かに(*)を満たすようなnn=1, 2のみであることが言えた。(証明終)

    解説

    1. 方針の立て方に沿って解答例を作成しました。5(30k^2+1)5でないことを言わなければ、5は素数なので素数でないことの証明になりません。注意しましょう。
    2. n=5k+1, n=5k+2, n=5k+3\ (n=5k-2), n=5k+4\ (n=5k-1)4通りで場合分けすることも考えられますが、n^25で割ったあまりは、n=5k+1n=5k-1n=5k+2n=5k-2でそれぞれ等しいので、n=5k\pm1n=5k\pm2で場合分けしています。

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2016年慶應大学理工|過去問徹底研究 大問3

2019.05.13

大問3 解答例 コ: サ: シ: ス: セ:0 ソ: タ: チ: 解説 (1) 2個のさいころを区別する. 〇1回目の操作を終えたとき番号3の硬貨の向きが表である確率(コについて) 題意を満たすさいころの出し方は,(1,1),(1,2),(2,2),(4,4),(4,5),(4,6),(5,5),(

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  • 大問3

    解答例

    コ:\frac{13}{36}
    サ:\frac{349}{648}​
    シ:\frac{479}{648}
    ス:-\frac{5}{18}
    セ:0
    ソ:\frac{4}{9}​
    タ:\frac{5}{18}
    チ:\frac{1}{4}\left(\frac{4}{9}\right)^n+\frac{1}{2}\left(-\frac{5}{18}\right)^n+\frac{1}{4}

    解説

    (1)
    2個のさいころを区別する.
    〇1回目の操作を終えたとき番号3の硬貨の向きが表である確率(コについて)
    題意を満たすさいころの出し方は,(1,1),(1,2),(2,2),(4,4),(4,5),(4,6),(5,5),(5,6),(6,6)とこれらの中身を入れ替えたものの計13通り.
    よって,求める確率は,
    \frac{13}{6^2}=\frac{13}{36}……(答)

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2016年慶應大学理工数学|過去問徹底研究 大問2

2019.05.13

本シリーズでは、早慶の各学部の過去問をそれぞれどのように解いたら良いのか、方針をどのように立てていけば良いのかを解説していきます。 方針の立て方 (1) と置くことも可能だが,の情報を盛り込むには, 本解のように置くのが妥当だと見抜きたい. (2) (積分の下限と上限が定数) で積分しているため,考

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  • 本シリーズでは、早慶の各学部の過去問をそれぞれどのように解いたら良いのか、方針をどのように立てていけば良いのかを解説していきます。

    方針の立て方
    (1)

    f\left(x\right)=\alpha x^2+\beta x+\gammaと置くことも可能だが,f\left(0\right)=f\left(1\right)=0の情報を盛り込むには,
    本解のように置くのが妥当だと見抜きたい.

    (2)

    0\leqq x\leqq1 (積分の下限と上限が定数) で積分しているため,考える定積分はaの一変数関数となると見抜き,素直に積分を実行するのが得策だと考える.
    実際に積分を実行すると,ただの2次関数になるため,後は典型的に平方完成による解法を取ればよい.

    (3)

    等式の証明は(左辺)-(右辺)=0を示せばよいことを利用する.Iの2乗の項を展開する際に,f^\prime\left(x\right)-xを一塊と見ると,Jを打ち消せることを利用すると計算が楽になります。
    ひとしきり計算が終わると,h^\prime\left(x\right)の処理が課題となるが,h^\prime\left(x\right)の目ぼしい情報は問題文で殆ど与えられていないため,
    部分積分してh^\prime\left(x\right)を消滅させる打開策が思いつく.

    (4)

    前問でI=Jを示したことを利用するのだと考えたい.
    そして,IJの複雑さを考えると,

    ①一旦Iに帰着させて,その後で,②前問の等式を用いてJに帰着させる.
    という方針が立つ.
    さらに(2)で定義したmが絡んでいることも考えると,
    \left(h^\prime\left(x\right)\right)^2の積分を小さく評価して0にし消滅させる.
    という方針も思いつく.

    ①~③の手順を踏んでいけばg\left(x\right)の置き換えが思いつき, 本解の解答となる.

    解答例

    (1)

    キ:ax\left(x-1\right)
    ク:\frac{1}{4}x\left(x-1\right)

    (2)

    ケ:\frac{5}{16}

    (3)以下、解答

    I=\int_{0}^{1}\left\{\left(f^\prime\left(x\right)+h^\prime\left(x\right)-x\right)^2-\left(f\left(x\right)+h\left(x\right)\right)\right\}dx=\int_{0}^{1}\left\{\left(f^\prime\left(x\right)-x\right)^2-f\left(x\right)\right\}dx+\int_{0}^{1}\left(h^\prime\left(x\right)\right)^2dx+2\int_{0}^{1}{h^\prime\left(x\right)\left\{f^\prime\left(x\right)-x\right\}}dx-\int_{0}^{1}h\left(x\right)dx
    \therefore I-J=2\int_{0}^{1}{h^\prime\left(x\right)\left{f^\prime\left(x\right)-x\right}}dx-\int_{0}^{1}h\left(x\right)dx\bigm=-\int_{0}^{1}{h^\prime\left(x\right)\left(x+\frac{1}{2}\right)}dx-\int_{0}^{1}h\left(x\right)dx\ \ \ \ \ \left(\because f\left(x\right)=\frac{1}{4}x\left(x-1\right)\right)\bigm={-\left[h\left(x\right)\left(x+\frac{1}{2}\right)\right]}^1_0+\int_{0}^{1}h\left(x\right)dx\ \ -\int_{0}^{1}h\left(x\right)dx\ \ \ \ \ 第1項に部分積分 =0\ \ \ \ \ (\because h\left(0\right)=h\left(1\right)=0)
    証明終了.

    (4)以下解答

    g\left(x\right)=f\left(x\right)+h\left(x\right)とおくと,h\left(x\right)は任意であるからg\left(x\right)も任意であり,かつ,g\left(0\right)=g\left(1\right)=0をみたす.
    また,g^\prime\left(x\right)=f^\prime\left(x\right)+h^\prime\left(x\right)は連続である.
    \therefore\int_{0}^{1}\left{\left(g^\prime\left(x\right)-x\right)^2-g\left(x\right)\right}dx=\int_{0}^{1}\left{\left(f^\prime\left(x\right)+h^\prime\left(x\right)-x\right)^2-\left(f\left(x\right)+h\left(x\right)\right)\right}dx\bigm=\int_{0}^{1}\left{\left(f^\prime\left(x\right)-x\right)^2-f\left(x\right)\right}dx+\int_{0}^{1}\left(h^\prime\left(x\right)\right)^2dx\ \ \ \ \ 前問の結果 \geqq\int_{0}^{1}\left{\left(f^\prime\left(x\right)-x\right)^2-f\left(x\right)\right}dx\ \ \ \ \ \left(\because\left(h^\prime\left(x\right)\right)^2\geqq0\right)\bigm\geqq m\ \ \ \ \ 2の結果

    証明終了.

    解説(1)

    f\left(x\right)=\alpha x\left(x-1\right) (\alphaは実数)と表せる.
    f^\prime\left(x\right)=2\alpha x-\alpha
    f^{\prime\prime}\left(x\right)=2\alpha
    \therefore a=\frac{1}{2}f^{\prime\prime}\left(0\right)=\alpha
    \thereforef\left(x\right)=ax\left(x-1\right)…(答)​

    (2)

    f^\prime\left(x\right)=2ax-aより,
    \int_{0}^{1}\left{\left(f^\prime\left(x\right)-x\right)^2-f\left(x\right)\right}dx=\int_{0}^{1}\left{\left(\left(2a-1\right)x-a\right)^2-\left(ax^2-ax\right)\right}dx\bigm=\int_{0}^{1}\left{\left(4a^2-5a+1\right)x^2-\left(4a^2-3a\right)x+a^2\right}dx\bigm=\left[\frac{4a^2-5a+1}{3}x^3-\frac{4a^2-3a}{2}x^2+a^2x\right]<em>0^1\bigm=\frac{1}{3}a^2-\frac{1}{6}a+\frac{1}{3}\bigm=\frac{1}{3}\left(a-\frac{1}{4}\right)^2+\frac{5}{16}
    よって,a=\frac{1}{4}のとき,\int</em>{0}^{1}\left{\left(f^\prime\left(x\right)-x\right)^2-f\left(x\right)\right}dxの値は最小となる.
    よって,
    f\left(x\right)=\frac{1}{4}x\left(x-1\right)のとき,
    最小値\frac{5}{16}……(答)

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2016年慶應大学理工数学|過去問徹底研究 大問1

2019.05.13

本シリーズでは、早慶の各学部の過去問をそれぞれどのように解いたら良いのか、方針をどのように立てていけば良いのかを解説していきます。 方針の立て方 (1) 頻出問題のため特筆事項なし. (2) 実際に図を描いてみることで方針を得る. は倍角の公式を用いてやの形に統一しておくと上手くいくことが多い.(三

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  • 本シリーズでは、早慶の各学部の過去問をそれぞれどのように解いたら良いのか、方針をどのように立てていけば良いのかを解説していきます。

    方針の立て方

    (1)

    頻出問題のため特筆事項なし.

    (2)

    実際に図を描いてみることで方針を得る.

    \sin{2\theta}や\cos{2\theta}は倍角の公式を用いて\sin{\theta}\cos{\theta}の形に統一しておくと上手くいくことが多い.(三角関数が苦手な受験生の多くに見られることだが,\sin{2\theta}\cos{2\theta}\sin{\theta}\cos{\theta}を別個の関数と見なしてしまわないように注意しよう.
    見かけは違っていても,これらは全て\thetaの関数であり,倍角の公式や相互関係の式:{\mathrm{cos}}^2\theta+{\mathrm{sin}}^2\theta=1でつながっている.実際,(ⅲ)ではxの一変数関数となっている!)
    さらに,極限の問題があることを加味すると,積の形に因数分解しておくのが良いことも分かる.

    解答例

    ア:36
    イ:182
    ウ:\sqrt3
    エ:9
    オ:\frac{-1+\sqrt7}{4}
    カ:\frac{10+7\sqrt7}{16}

    解説

    (1)

    2016=2^5\cdot3^2\cdot7
    よって,正の約数の個数は,
    \left(5+1\right)\left(2+1\right)\left(1+1\right)=36個
    また,正の約数の和は,2^c\cdot3^b\cdot7^aで,aを0,1,bを0,1,2,cを0,1,2,3,4,5と変化させて,それらを全部足し合わせたものであるから,
    $\displaystyle \sum^1_{a=0}\sum^2_{b=0}\sum^5_{c=0}\left(2^c\cdot3^b\cdot7^a\right)=\left(2^0+2^1+2^2+2^3+2^4+2^5\right)\left(3^0+3^1+3^2\right)\left(7^0+7^1\right)=63\cdot13\cdot8$
    より,
    \frac{63\cdot13\cdot8}{36}=182…(答)

    (2)

    S_1\left(\theta\right)=\frac{1}{2}\cdot2\left(\sin{\theta}+\sin{2\theta}\right)\cdot\left(\cos{\theta}-\cos{2\theta}\right)=\sin{\theta\left(1-\cos{\theta}\right)}\left(2\cos{\theta}+1\right)^2
    S_2\left(\theta\right)=\frac{1}{2}\cdot2\sin{\theta}\cdot\left(1-\cos{\theta}\right)=\sin{\theta}\left(1-\cos{\theta}\right)

    (ⅰ)
    S_1\left(\frac{\pi}{6}\right)=\sqrt3

    (ⅱ)
    $\displaystyle \lim{\theta\to+0}{\frac{S1\left(\theta\right)}{S2\left(\theta\right)}}=\lim{\theta\to+0}{\frac{\sin{\theta\left(1-\cos{\theta}\right)}\left(2\cos{\theta}+1\right)^2}{\sin{\theta}\left(1-\cos{\theta}\right)}}=\lim{\theta\to+0}{\left(2\cos{\theta}+1\right)^2}=9$

    (ⅲ)
    \cos{\theta}=xとおくと,<\theta<\frac{\pi}{2}より,0<\sin{\theta}だから,\sin{\theta}=\sqrt{1-{\mathrm{cos}}^2\theta}=\sqrt{1-x^2}である.
    S_1=\sqrt{1-x^2}\left(1-x\right)\left(2x+1\right)^2
    積の微分法則を使えば,
    \frac{dS_1}{dx}=\frac{\left(2x+1\right)\left(x-1\right)\left(8x^2+4x-3\right)}{\sqrt{1-x^2}}
    0<\theta<\frac{\pi}{2}より,0<\cos{\theta}=x<1に注意すれば,
    \frac{dS_1}{dx}=0\Leftrightarrow x=\frac{-1+\sqrt7}{4}
    増減表を書くと,

    x 0 \frac{-1+\sqrt7}{4} 1
    \frac{dS_1}{dx} + + 0 ×
    S_1 \nearrow \nearrow 最大 \searrow \searrow

    \left.S_1\right|_{x=\frac{-1+\sqrt7}{4}}=\frac{10+7\sqrt7}{16}
    よって,
    \cos{\theta}=\frac{-1+\sqrt7}{4}のとき最大値\frac{10+7\sqrt7}{16}をとる.…(答)

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