着目する物体にいろいろな方向から力がはたらいている場合、直接つり合いの式を立てるのは難しくなります。そんな時は、物体にはたらく力を2方向に分けて考えましょう。これが力の分解です。 分解した2つの方向について、それぞれ別々につり合いの式を立てれば、どんな方向に対しても力のつり合いを考えることができます
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- [speech_bubble type="ln-flat" subtype="L1" icon="seitom3.gif" name="小山くん"]力の方向が斜めだったら、どうやって力のつり合いを考えたらいいんだろう。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="ln-flat" subtype="R1" icon="seitow4.gif" name="山田さん"]力の向きを2つに分けると、考えやすくなるよ。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="ln-flat" subtype="L1" icon="seitom3.gif" name="小山くん"]なるほど、力の分解ってそういうことか。でも、どの方向に分ければいいんだろう。[/speech_bubble]
[speech_bubble type="ln-flat" subtype="R1" icon="seitow4.gif" name="山田さん"]水平・鉛直に分けることが多いけど、いろんな場合があるよ。[/speech_bubble]
着目する物体にいろいろな方向から力がはたらいている場合、直接つり合いの式を立てるのは難しくなります。そんな時は、物体にはたらく力を2方向に分けて考えましょう。これが力の分解です。
分解した2つの方向について、それぞれ別々につり合いの式を立てれば、どんな方向に対しても力のつり合いを考えることができます。
2本のひもで引っ張る場合
2本のひもで物を引っ張る(2方向に力を加える)ことを考える問題が存在します。
例として、おもりが天井から2本の糸で吊るされている場合を考えてみましょう。おもりが2本の糸で吊るされて止まっている場合、ひもで引っ張る力は重力と平行ではありません。
ですが、おもりが止まっているので、2本のひもで引っ張る力の合力は重力とつり合うはずです。
この力を2本それぞれのひもで引っ張る力に分解することで、それぞれのひもによる張力を求めることができます。簡単に考えるため、図の上で矢印の大きさにより力の分解を考えてみましょう。
まず、2本のひもにより引っ張る力の合力を考えます。重力とつり合っているので、重力と逆方向で同じ大きさの矢印を引きます。次に、その合力が平行四辺形の対角線になるように、矢印の先からそれぞれのひもと平行な線を引きます。
この平行四辺形の上で、ひも上の2辺と同じ大きさの矢印がそれぞれのひもによりおもりを引っ張る力になります。基本的に、水平な2方向でなければどんな方向にも力を分解することはできます。
ですが、問題を考える上では、力を垂直な2方向に分解する方が考えやすくなります。力の分解を使ってつり合いを考える
ざらざらとした地面に置いた物体を、ひもで斜め上に引っ張ることを考えます。
ざらざらとした地面では、物体を地面に対して水平な方向に引っ張ると、「摩擦力」という力が働きます。(下図の黄緑)
摩擦力は地面に対して水平な方向に働きます。よって、この物体には地面に水平な方向、垂直な方向、斜め方向と、様々な方向に力が働いています。
弱い力で引っ張り、物体が動いていないとしたとき、どのような力がつり合っているかを考えます。
このとき、まず斜め方向にはたらいている、物体をひもで引っ張る力を分解しましょう。他の力は地面に水平な方向、垂直な方向であるので、考えやすいように地面に水平な方向、垂直な方向の2つに分解します。地面に水平な方向をx方向、垂直な方向をy方向として、それぞれの方向について力のつり合いを考えます。
まず、どのようにして力を分解したらいいかを考えます。ひもで引っ張る力の大きさをT、引っ張る方向の地面からの角度をθとします。
このとき、分解した後の力は水平方向にはTcosθ、垂直方向にはTsinθとなります。次に、それぞれの方向について力のつり合いを考えましょう。
x方向に働く力は、摩擦力と、ひもで水平方向に引っ張る力Tcosθです。よって、(摩擦力)=Tcosθとなります。y方向に働く力は、重力、垂直抗力と、ひもで垂直方向に引っ張る力Tsinθです。
上向きに働く力と下向きに働く力を考えると、(垂直抗力)+Tsinθ=(重力)となります。このように、力と分解する方向の角度に注意して、三角関数を用いて表すことで、力を分解することができます。
鉛直と水平に分解するのが一番オーソドックスですが、他の力が働いている方向によっては別の方向に分解した方がいい場合もあります。
具体的には、分解するべき力の数がなるべく少なくなるようにした方がいいです。
例えば、上記のような問題で斜面に対する物体について考えるときは、その斜面に水平な方向、鉛直な方向に分解した方がいいです。
他の方向に分解してしまうと、摩擦力や垂直抗力も分解しなければいけなくなり、計算が複雑になってしまいます。
どのように分解すれば、一番きれいに解けるかを意識して考えましょう。ところでなぜ力は分解できるのでしょうか。
これは実は力は数学Bで学ぶベクトルで考えるとわかります。数学的にはベクトルの合成、分解をやっていることと同じです。