「慶應義塾大学は私立最難関のひとつ」というイメージをお持ちの方も多いでしょう。
実際、慶應商学部と言えばビジネスや経済のエリートを数多く輩出しており、受験生も殺到する人気学部です。
しかし、
その一方で「A方式」に限って言えば、実質倍率が低く合格ラインも比較的抑えめで、実は”穴場”で受かりやすい というのをご存じでしょうか?
本記事では、慶應商学部A方式とB方式の違いをはじめ、A方式が”入りやすい”とされる理由や、各科目の具体的な対策方法、合格最低点のデータ分析まで、徹底的に解説します。
「A方式で英語や数学を使って受験したい」「B方式とどちらを選ぶべきかわからない」という受験生は必見!
ぜひ最後までご覧いただき、戦略的な受験計画を立ててください。
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A方式とB方式のどちらを選ぶべきか?
慶應商学部では、「A方式」と「B方式」という2つの一般入試方式が用意されています。
どちらも商学部へ入学するための試験ですが、試験科目や配点、募集定員などが大きく異なるのが特徴です。
下記がA方式とB方式の比較表になります。
◆A方式とB方式の比較図
方式
配点
募集人数
倍率
難易度
A方式
英語200点 / 数学100点 / 地歴100点(合計400点満点)
480名
2.7倍(2025年度)
[rating stars="2.0"]
「数学が難しい」「でも募集人数は多い」「実質倍率低め」
B方式
英語200点 / 地歴100点 / 論文100点(合計400点満点)
120名
7.0倍(2025年度)
[rating stars="4.0"]
「募集定員が少なく高得点勝負」「英語8割必須とも」「論文対策が特殊」
A方式は数学が必須科目であり、「数学力を重視」 します。 その分、英語・地歴に加えて数学対策も必要ですが、募集人数が多く実質倍率が低いのが魅力 です。
B方式は論文テスト(小論文的な問題)を含み、地歴と英語で高得点を狙わないと合格が難しい です。 また募集定員が少なく倍率が高いため、高得点勝負 になるケースが多いです。
A方式 vs B方式の試験科目
A方式B方式ともに英語は配点の半分(200点/400点満点)と非常に重いので、ここで高得点を狙いたいところです。
英語で8割取れるレベルまでにいれば、かなり合格に近づきます。
数学は文系学部の中ではかなり難易度が高いとされ、いわゆる「文系数学」の範疇を超えた応用的問題も出がち。
一方で得意な人は差がつけやすいとも言われます。
地歴(日本史・世界史・地理のいずれか)は100点配点。
暗記をしっかりこなせば高得点が期待できるため、英語と地歴で稼ぎ(双方9割)、数学をそこそこ取る(4,5割)戦略 も可能です。
英語と地歴(いずれも100点換算)はA方式と同じ。
論文テストがある点が最大の特徴。
論文テストは商学に関するテーマ(経済・ビジネス・社会問題など)を扱う短文読解+記述+簡単な数的処理(確率やデータ分析問題が出る年もある)。
数学嫌いの純文系には難しい問題も多々でてしまうので、ある程度の数学的素養は必要です。
論文テストはかなり特殊なテストです。
こちらに詳しく説明の記事があります。
[nlink url="https://hiroacademia.jpn.com/blog/taisaku/keio/shougaku/ksh-shouron/"]
倍率・難易度の差
具体的にA方式、B方式の倍率を見ていきましょう。
◆A方式の実質倍率
[keio-sho-a-bairitu]
A方式の受験者数は毎年4,000~4,500人前後で、合格者数は約1,400~1,640人とかなり多め。
そのため実質倍率は2.6~2.7倍程度に落ち着きます。
(2025年度は受験者4,473名、合格者1,640名で2.7倍)
◆B方式の実質倍率
[keio-sho-b-bairitu]
B方式は募集定員が120名程度と少なく、実質倍率は6~7倍の高止まり。
(2025年度は受験者2,811名、合格者403名で7.0倍)
この数字だけ見れば「A方式のほうが入りやすい」となるのも頷けます。
実質倍率:A方式が約2.7倍、B方式が約7.0倍(2025年度)
試験難易度:B方式は高得点勝負、A方式は数学が鍵
B方式は論文テストが独特で対策しにくく、英語・地歴ともに8割前後を狙わないと厳しいという声があります。
A方式は数学の難易度が高めですが、「数学が多少苦手でも英語・地歴で稼げる」「他の数学選択受験生も苦戦するから大差になりにくい」という利点 もあります。
結果的に、合格最低点はA方式のほうが低くなるケースも多いです。
数学の現在の学力にもよりますが、A方式の方が圧倒的に入りやすいですね。
過去の合格最低点と平均点をチェック
A方式の合格最低点は、400点満点中240~260点前後(約60~65%) が近年の相場。
年によっては数学が難化すると合格最低点が下がり、微妙に易化すると最低点が250~260点になるなど、数学の難易度が合否ラインに影響している様子がうかがえます。
一方、B方式は280~310点(約70~78%)に集中 し、年によっては300点超の高得点を要することも珍しくありません。
過去の合格最低点
年度
A方式(400点満点)
B方式(400点満点)
2025年
246点 (61.5%)
281点 (70.3%)
2024年
250点 (62.5%)
290点 (72.5%)
2023年
237点 (59.3%)
278点 (69.5%)
2022年
240点 (60.0%)
302点 (75.5%)
2021年
252点 (63.0%)
288点 (72.0%)
2020年
244点 (61.0%)
309点 (77.3%)
「A方式はだいたい6割~6.5割取れれば合格ラインに乗る」一方で「B方式は7割以上取らないと厳しい」ことが多いのが見て取れます。
これこそが「A方式は穴場」と言われる最たる理由です。
B方式は2017年に317点(79%)という早慶の入試ではかなりの高得点争いになっている時も考えると、B方式を狙っている人は安定して高得点取れるようにするのが必要です。
B方式の合格最低点は論文テストの出来が鍵
下記は論文テストとB方式の合格最低点の一覧です。
年度
論文テスト (100)
合格最低点 (400)
2006年
31.83点
250点
2007年
53.87点
294点
2008年
54.80点
290点
2009年
53.62点
264点
2010年
45.40点
264点
2011年
37.64点
282点
2012年
44.44点
279点
2013年
33.73点
274点
2014年
68.27点
311点
2015年
46.76点
274点
2016年
68.27点
293点
2017年
70.44点
317点
2018年
42.30点
293点
2019年
58.32点
288点
2020年
70.30点
309点
2021年
65.44点
288点
2022年
74.71点
302点
2023年
57.80点
278点
2024年
64.03点
290点
2025年
-
281点
論文テストの平均点が高いと合格最低点が高くなるとの相関がありますので、論文テストが合否を握ると言っても過言ではありません。
どっちが自分に合うのか?見極めるチェックポイント
あなたが受験する上で、A方式とB方式どっちがあっているかどうか見ていきましょう。
【A方式】数学が得意、もしくは「そこそこ戦える」自信がある
A方式は数学が必須です。
もし「数学がとにかく苦手…」という場合は慎重になる必要があります。
ただし「数学で大事故を起こさなければ、英語と社会で充分にカバーできる」というパターンも実際にあります。
こんな人はA方式向き!
公式や計算がさほど苦じゃない
理系レベルの数学Ⅲは無理でも、数学I~II・A~Bの範囲なら対策次第でやれそう
「数学だけでなく英語・社会も得点源にできる」と考えている
過去の塾生で英語、世界史9割で数学3割程度で受かっている塾生もいました。
【B方式】論文テストが得意かどうか
B方式には商学部独自の「論文テスト」があります。
これは文章読解や論述力に加え、簡単な数的処理問題が出る年もあるため、小論文対策をしっかりこなす必要があります。
こんな人はB方式向き!
英語、地歴に絶対の自信があり9割近くの点数は双方とも取れる!
ビジネス系の時事知識や経済テーマの読解に興味がある
論文テストに抵抗がない、むしろ小論文系で差をつけたい
A方式でもB方式でもポイントは、英語・地歴で8割狙えるレベルにはいるのは慶應商学部を目指す上では非常に重要です。
慶應商学部A方式の入試科目別対策
それではA方式の各科目ごとに、具体的な勉強ポイントを見ていきましょう。
【英語対策】時間との闘い!長文速読をどう鍛える?
長文だけでなく文法、記述問題とバランスよく出題されます。1問1問行うと難しくないので、全部セットで過去問を行う必要があります。
配点が重いからこそ「英語で合否が決まる」
慶應商学部A方式の英語は、配点が200/400点と半分を占めます。
「ここで6割~7割しか取れない」となると合格は厳しく 、7~8割超を目指す意識が必要。
実際、英語が得点源になった合格者が多く、英語力でのアドバンテージを築けるかどうかが勝負を左右します。
長文読解が大問の中心 – 多読と速読力強化
毎年、900words級の長文が複数出題され、内容一致・下線部内容説明など多岐にわたる問題が展開されます。
制限時間90分で大量の英文を読み解くため、速読力(WPM150~200程度)を鍛えないと時間切れに陥りがち。
対策としては、日常的に多読練習&過去問演習を積み、「難しいテーマでも文章構成を素早く把握する」習慣を作ることが重要です。
速読の練習は「ぐんぐん英語長文」が良いでしょう。
慶應商学部であれば、このシリーズのSTANDARDまでをしっかりできると合格水準に達することは可能です。
[nlink url="https://hiroacademia.jpn.com/blog/sankosyo/eigo/gunngunnchoubun/"]
語彙力と文法力 – 語形変化問題に要注意
語彙は標準~難関大レベルの単語が出ますが、特に多義語や派生語まで押さえておく必要あり。
例えば”set”のように意味が多岐にわたる単語は典型例。
文法問題や語形変化問題(動詞→名詞形など)も頻出なので、定番の『桐原英文法』『ターゲット1900』等で基礎固め。
空欄前後の文脈から適切な品詞を判断する問題も出るので、文法・語彙を絡めた総合的読解力が必須です。
引用:2021年慶應商学部入試
時間配分:文法問題を短時間で片付け、長文に集中
大問数が多く、長文3題+文法系問題の構成になることが多いので、文法・語句問題は10~15分程度でサクッと終え、長文に60分程度割く配分が定番。
過去問練習では常にストップウォッチを使い、本番を想定した時間管理を習得しましょう。
見直し時間も含めて90分内に解答をまとめる練習が重要です。
時間配分についてはこちらの記事で説明しています。
[nlink url="https://hiroacademia.jpn.com/blog/taisaku/keio/shougaku/ksh-english/"]
【数学対策】文系トップレベルの難易度を攻略する
慶應商学部の数学は難しいですが、全部の問題を解き切るようになる必要はありません。
文系学部としては破格のレベル
A方式の数学は高校範囲(数I・II・A・B)内ですが、問題の難易度が高く、融合問題や思考力を要する問題が出されます。
受験者の中には国立理系との併願組もいて、このような人たちが高得点を取るケースがあるため、数学に苦手意識がある受験生はある程度の覚悟が必要 です。
頻出分野:微積分・確率・数列・ベクトル
出題はほぼ全範囲から出ますが、特に「微分・積分」「確率」「数列」「ベクトル」が毎年のように頻繁に登場。
場合の数、図形、整数問題なども融合的に出題される年もあり、問題量が多いため速い計算力と的確な取捨選択 が求められます。
時間内で取りきるために:中~易レベルを確実に
大問4~5問を90分で解くのはハード。
難問に執着しすぎると他の問題を解く時間がなくなります。
方針としては、解けそうな問題から先に片付け、部分点も狙いつつ、時間がかかりそうな設問は後回しでOK。
受験者全体も数学に苦労するため、苦手な人でも「標準問題は落とさない」レベルを固めれば合格点ラインには達しやすいです。
詳しい勉強法についてはこちらの記事で詳しく説明しています。
[nlink url="https://hiroacademia.jpn.com/blog/taisaku/keio/shougaku/ksh-math/"]
【地歴対策】ミスが許されない高得点勝負
早慶にしてはかなり基礎、標準的な問題が出題されますので、1問でも落としたら合格は遠のくと考えて勉強しましょう!
出題難易度:基礎~標準レベル
慶應商学部の地歴は、早慶レベルとしては「難問奇問」というほどではありませんが、深い知識や資料読み取りが必要な問題も散見されます。
大学独自のひねりを加えた問題が混ざり、教科書+一問一答+資料集でしっかり補完する学習が大切です。
暗記強化のコツ
まずは教科書の全範囲を漏れなく押さえた上で、過去問や問題集で問われ方を確認しましょう。
時代の流れ(日本史なら時代区分、世界史なら地域や文明同士の関連性、地理なら各地域の経済や地形)を「俯瞰する形」で理解するのがポイント。
下記でそれぞれの科目については詳しく説明しています。
日本史
世界史
地理
A方式は本当に”穴場”なのか?気をつけたい落とし穴
A方式は実質倍率2.7倍(2025年度)と、他学部・B方式の7.0倍に比べると確かに低いです。
「実は簡単に受かるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、油断は禁物。
以下のような”落とし穴”もあります。
理系・難関国立大併願生との戦い
国立大学を目指す理系受験生が「数III不要の文系数学なら余裕」と参戦してくることがあります。
数学が得意な彼らはA方式で高得点を狙いやすく、文系が苦戦する分野で差をつけられる恐れがあります。
もっとも、「理系絶対有利」とまでは言えません。
英語・地歴が苦手な理系生も多く、バランス良く全科目を得点する必要は変わらないため、「数学で大差をつけられる」ほどの理系生は意外と少数。
過度に恐れる必要はないものの、数学対策を怠ると理系生に差をつけられるリスクは高いです。
早慶ともなると基本は旧帝大の生徒と戦う必要があることは頭に入れておきましょう。
ヒロアカ合格者の体験談 A方式で受かるための勉強法の共通点
実際に当塾(ヒロアカ)でA方式で合格した先輩たちからは、以下のような勉強法が共通しています。
英語を最優先で仕上げる
配点が高いため、英語で稼げるようになると合格に近づく。
長文速読練習や多読を日常的に行い、ターゲット1900やEX英検準1級を徹底周回して語彙・文法も抜け漏れないように。
数学は「標準問題を落とさず、難問は割り切る」
過去問で見ても、全問を完璧に解ける人は少ない。取れる問題を確実に取る方針を貫き、どうしてもわからない問題や時間がかかりそうな設問は潔く諦める。
“苦手だから捨てる”のではなく、“苦手でも最低限の得点は取る”ことが大切。
地歴は高得点を狙う
暗記科目として短期間に伸ばしやすい教科。
2次的資料や史料読解対策も怠らず、過去問での出題パターンに慣れておく。
英語が得意なら、地歴は8割以上を取って合格を手繰り寄せるパターンが王道です。
慶應商学部A方式での合格ならヒロアカへ!
本記事では、慶應商学部A方式が実質倍率の低さや合格最低点の観点から「穴場」とされる理由を解説し、さらに各科目別対策や学習計画、B方式との比較を紹介してきました。
まとめると、
A方式は英語・数学・地歴の3科目で受験し、英語配点が重い割に合格最低点が比較的抑えられる
募集定員が多く、実質倍率2.7倍(2025年度)と慶應の中では入りやすい と言われる
ただし数学の難易度が高く、苦手な人も最低限の得点は確保する必要がある
英語・地歴で高得点が狙えれば、数学が多少不調でもカバー可能
本番までの地道な学習計画と慶應商学部専門の対策が合格の鍵 を握ります。
「もっと具体的な勉強相談や個別指導を受けたい」「勉強計画を一緒に組んでほしい」という方には、ぜひヒロアカ(HIRO ACADEMIA)をご検討 ください!
私たちは早慶・難関大専門の塾として、多くの合格者を輩出してきました。
A方式・B方式それぞれの最新対策ノウハウが豊富に蓄積されているので、あなたの状況に合わせた最適なカリキュラムをご提案できます。
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